2010.10.20 (Wed)
10月20日、私・吉田たかおは京都市会第2会議室で開催された、普通決算特別委員会の市長総括質疑で、門川市長に「新しい福祉政策」について質問しました。
→ クリックしたら大きく表示します
嬉しいことに、門川市長・副市長から前向きかつ踏み込んだ答弁を勝ち取ることができ、大きな前進となりました。
これからも現場第一主義でダッシュしてまいります。
下記に質問原稿と、答弁の主旨を掲載させていただきます。長い文章で恐縮ですが、関心のある方はお読みください。
***********************************************************************
普通決算特別委員会市長総括質疑
吉田孝雄(公明党)
【うつ対策】
今、公明党は「新しい福祉」と銘打ちまして、新たに顕在化してきた多様な福祉課題に光を当てて取り上げています。
本日は、その中から何点かお聞きしますが、まず1点目は、「うつ対策」についてでございます。
少し古いデータですが、平成19年に厚生労働省が行った「労働者健康状況調査」によりますと、仕事に関して強い不安やストレスを感じている人は、6割を超えるそうです。
労働者の方だけでなく、学生さんや主婦の方も、多くの方が悩みを抱えていらっしゃると思います。いまや、「誰もがうつ病になるリスクを抱えている」と言っても過言ではありません。
うつ病は、「心の風邪」のようなもので、風邪と同じように誰もがかかりうる病気だ、という説もございます。
重症になる前に、風邪と同じくらい日常的に治療が受けられるような環境整備が重要であります。そのためにも、啓発活動の強化と専門家の育成が必要であり、行政の支援も重要ではないかと問題提起させていただきたいと思います。
とくに、今、認知行動療法が注目されています。これは、うつ病に高い効果があるといわれているカウンセリング療法であり、薬に依存しないという特徴があるということで、大きな期待が寄せられています。
われわれ公明党は、国会議員と地方議員が、チーム3000を結成し、さまざまな政策課題に取り組む中、この認知行動療法をはじめとするうつ病対策を充実し、患者さんの社会復帰をご支援する取り組みを、積極的に進めるなか、今年4月から、認知行動療法の保険適用が実現しました。
しかし、今の大きな問題は、認知行動療法を行える専門家が少ないということなのです。うつ病患者さんのニーズに応えるには、この新しい治療法の専門家を育成しなければなりません。
ところが、民主党政権がつけた認知行動療法の専門家を育成する予算は、何とたったの1千万円です。
先日開催された公明党女性局の研修会では、日本における第一人者である慶応義塾大学保健管理センターの大野裕教授が講演をされました。
私は男性なので出席はかなわなかったのですが、出席した方にお聞きしますと、認知行動療法は、うつ病だけではなく、パニック障害や不眠などにも効果があり、学校の生徒の荒れた行動を変えるために役立った等の実績があるとのことであります。
ようやく本年、保険の適用がされたとはいえ、現時点では医師にとどまっており、普及が進まないのではないかと心配されています。カウンセラーの治療にも保険適用がされるよう、現在、各方面から真剣な声が挙げられているところです。
ぜひ、うつ対策、とりわけ、そのなかでも認知行動療法について、京都市に於いて、より先進的な取り組みを進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
《星川副市長答弁》 重要な課題であり、抜本的に対応してまいりたい。
【障がい者就労支援】
さきほどご紹介したように、認知行動療法への予算が大変少ないという実態がありますし、また、心の病についてキメ細かく対策を進めている国の「自殺対策緊急強化基金」が、23年度で打ち切りになるとお聞きしています。
会派を超えて、各委員の皆さんにも、うつ対策を進めていくために、力を合わせていこうではありませんかと、申し上げたいと存じます。
次に、「障がい者の就労支援」についてお聞きします。私は、6月10日に開催された「第3回京都市障害者就労支援推進会議」を傍聴しました。
この会議は、企業や就労支援機関など、40名近い有識者・関係者が一堂に会した、スケールの大きなもので、傍聴させていただき、大変に勉強になったのですが、特に心に残ったのは、東京から参加されたNPO法人・障がい者就業・雇用支援センターの秦理事長が、「障がい者の実態をよく知らない企業側と、企業の実情をよく知らない就労支援側との、お互いの意識のギャップを埋めなければならない」とおっしゃったことです。
社会で活躍したいと念願する障がい者の方々と、福祉への貢献を志す企業側の、それぞれの思いを仲立ちし、コーディネートする立場である行政の役割は大きいと思います。
事業は始まったばかりということで、まだまだ試行錯誤の段階かとは存じますが、両者の意識ギャップを埋めていくための担当者の努力に敬意を表するとともに、情報を蓄積し分析して、きめ細かく、そして積極的に進めていただきたいと、心から期待をさせていただく所でございます。
そこで問題提起したいのは、先ほどの質疑と関連しますが、心の病、すなわち精神障がいの方の就労の問題です。
京都障害者就業・生活支援センターの阪田所長は、就労相談は知的障がいの方が圧倒的に多いが、最近は精神や発達障がいの方からも増加してきているとの実態を報告されました。
推進会議でも話題になっていましたが、大学入学後や就職してから心の病を発症され、退学あるいは退職を余儀なくされる方が増えているとのことで、そのような方々は、長い時間をかけて治療された結果、社会復帰を目指す際には、30歳を超えており、なかなか社会に適応できにくいというのです。
また、せっかく就職できても、周囲となじめないまま長く続かなかったりするケースが多く、このような方々に共通する特質である「専門性は高いが社会性に問題がある」ということを理解して、受け入れる企業側の環境整備が望まれるとのこと。
推進会議で立命館大学の望月教授がおっしゃったように、福祉側と企業側が連携を深め、情報の蓄積と活用をすすめることが重要であり、行政の役割は大きいと思います。
心の病の方を含めた、障がい者の方々への就労支援を、柔軟に、そして積極的に進めていくことが、心豊かな社会を実現すると確信いたします。この事業の今後の方向性、課題解決へのご決意等、ご見解をお聞きいたします。
《星川副市長答弁》 経済が大変なので苦戦しているが、各方面と結束してネットワークを形成し、着実に前進してまいりたい。
【ひとり親支援】
最後に、「ひとり親支援」についてお聞きします。
5年前の国勢調査によると、京都市のひとり親家庭は、10,992世帯とのことです。そのうち母子家庭は10,062世帯、父子家庭は930世帯というデータでございます。
平成21年6月に実施された「京都市ひとり親家庭実態調査」では、父子家庭の3分の1を超える343名から回答が寄せられ、シングルファーザーの方の問題意識が高まってきていることが裏付けられました。
そのなかで、現在実施中の「ひとり親家庭日常生活支援事業」を利用したいと答えた方の割合が、父子家庭が母子家庭の倍近くありました。
つまり、シングルマザーと比べても、同じか、より高い割合で、シングルファーザーの方々は、生活支援や情報交換、交流事業へのニーズをお持ちであると受け止められると思います。
21年9月議会で、わが会派の平山議員の質問に答え、市長も、日常生活を支援する事業の充実や、家事や子育てに関する相談に応じる生活支援事業の新たな実施、ひとり親家庭同志の交流を行うファミリーネットワーク事業の拡大などを実施すると答弁されました。
私自身、大変に心強く感じ、2月に開催されたセミナーを見学しに、母子福祉センターを訪問させていただきました。しかしながら、その際の男性の参加者は1名でした。広報周知もさることながら、「母子福祉センター」という名称に、心理的抵抗を感じているケースもあるのではないかなと思いました。
また、今回の決算委員会局別質疑で、21年度のひとり親への様々な支援事業についてお聞きしたところ、1年間の各種事業への父子家庭の参加状況は、3世帯にとどまっているとの答弁がありました。
これらから導かれる問題意識は、大変に僭越な言い方になりますが、21年度から今年度にかけての現状は、先の市長答弁が具体的に進んでいないのではないか、あるいは十分にいきわたっていない実態があるのではないかと、受け止めざるを得ないのでございます。
21年度を総括し、課題を検証して、具体的に推進していくべきと考えますが、いかがでしょうか。
《門川市長答弁》 ひとり親家庭支援は大事であり、実のある支援を進めて参りたい。

嬉しいことに、門川市長・副市長から前向きかつ踏み込んだ答弁を勝ち取ることができ、大きな前進となりました。
これからも現場第一主義でダッシュしてまいります。
下記に質問原稿と、答弁の主旨を掲載させていただきます。長い文章で恐縮ですが、関心のある方はお読みください。
***********************************************************************
普通決算特別委員会市長総括質疑
吉田孝雄(公明党)
【うつ対策】
今、公明党は「新しい福祉」と銘打ちまして、新たに顕在化してきた多様な福祉課題に光を当てて取り上げています。
本日は、その中から何点かお聞きしますが、まず1点目は、「うつ対策」についてでございます。
少し古いデータですが、平成19年に厚生労働省が行った「労働者健康状況調査」によりますと、仕事に関して強い不安やストレスを感じている人は、6割を超えるそうです。
労働者の方だけでなく、学生さんや主婦の方も、多くの方が悩みを抱えていらっしゃると思います。いまや、「誰もがうつ病になるリスクを抱えている」と言っても過言ではありません。
うつ病は、「心の風邪」のようなもので、風邪と同じように誰もがかかりうる病気だ、という説もございます。
重症になる前に、風邪と同じくらい日常的に治療が受けられるような環境整備が重要であります。そのためにも、啓発活動の強化と専門家の育成が必要であり、行政の支援も重要ではないかと問題提起させていただきたいと思います。
とくに、今、認知行動療法が注目されています。これは、うつ病に高い効果があるといわれているカウンセリング療法であり、薬に依存しないという特徴があるということで、大きな期待が寄せられています。
われわれ公明党は、国会議員と地方議員が、チーム3000を結成し、さまざまな政策課題に取り組む中、この認知行動療法をはじめとするうつ病対策を充実し、患者さんの社会復帰をご支援する取り組みを、積極的に進めるなか、今年4月から、認知行動療法の保険適用が実現しました。
しかし、今の大きな問題は、認知行動療法を行える専門家が少ないということなのです。うつ病患者さんのニーズに応えるには、この新しい治療法の専門家を育成しなければなりません。
ところが、民主党政権がつけた認知行動療法の専門家を育成する予算は、何とたったの1千万円です。
先日開催された公明党女性局の研修会では、日本における第一人者である慶応義塾大学保健管理センターの大野裕教授が講演をされました。
私は男性なので出席はかなわなかったのですが、出席した方にお聞きしますと、認知行動療法は、うつ病だけではなく、パニック障害や不眠などにも効果があり、学校の生徒の荒れた行動を変えるために役立った等の実績があるとのことであります。
ようやく本年、保険の適用がされたとはいえ、現時点では医師にとどまっており、普及が進まないのではないかと心配されています。カウンセラーの治療にも保険適用がされるよう、現在、各方面から真剣な声が挙げられているところです。
ぜひ、うつ対策、とりわけ、そのなかでも認知行動療法について、京都市に於いて、より先進的な取り組みを進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
《星川副市長答弁》 重要な課題であり、抜本的に対応してまいりたい。
【障がい者就労支援】
さきほどご紹介したように、認知行動療法への予算が大変少ないという実態がありますし、また、心の病についてキメ細かく対策を進めている国の「自殺対策緊急強化基金」が、23年度で打ち切りになるとお聞きしています。
会派を超えて、各委員の皆さんにも、うつ対策を進めていくために、力を合わせていこうではありませんかと、申し上げたいと存じます。
次に、「障がい者の就労支援」についてお聞きします。私は、6月10日に開催された「第3回京都市障害者就労支援推進会議」を傍聴しました。
この会議は、企業や就労支援機関など、40名近い有識者・関係者が一堂に会した、スケールの大きなもので、傍聴させていただき、大変に勉強になったのですが、特に心に残ったのは、東京から参加されたNPO法人・障がい者就業・雇用支援センターの秦理事長が、「障がい者の実態をよく知らない企業側と、企業の実情をよく知らない就労支援側との、お互いの意識のギャップを埋めなければならない」とおっしゃったことです。
社会で活躍したいと念願する障がい者の方々と、福祉への貢献を志す企業側の、それぞれの思いを仲立ちし、コーディネートする立場である行政の役割は大きいと思います。
事業は始まったばかりということで、まだまだ試行錯誤の段階かとは存じますが、両者の意識ギャップを埋めていくための担当者の努力に敬意を表するとともに、情報を蓄積し分析して、きめ細かく、そして積極的に進めていただきたいと、心から期待をさせていただく所でございます。
そこで問題提起したいのは、先ほどの質疑と関連しますが、心の病、すなわち精神障がいの方の就労の問題です。
京都障害者就業・生活支援センターの阪田所長は、就労相談は知的障がいの方が圧倒的に多いが、最近は精神や発達障がいの方からも増加してきているとの実態を報告されました。
推進会議でも話題になっていましたが、大学入学後や就職してから心の病を発症され、退学あるいは退職を余儀なくされる方が増えているとのことで、そのような方々は、長い時間をかけて治療された結果、社会復帰を目指す際には、30歳を超えており、なかなか社会に適応できにくいというのです。
また、せっかく就職できても、周囲となじめないまま長く続かなかったりするケースが多く、このような方々に共通する特質である「専門性は高いが社会性に問題がある」ということを理解して、受け入れる企業側の環境整備が望まれるとのこと。
推進会議で立命館大学の望月教授がおっしゃったように、福祉側と企業側が連携を深め、情報の蓄積と活用をすすめることが重要であり、行政の役割は大きいと思います。
心の病の方を含めた、障がい者の方々への就労支援を、柔軟に、そして積極的に進めていくことが、心豊かな社会を実現すると確信いたします。この事業の今後の方向性、課題解決へのご決意等、ご見解をお聞きいたします。
《星川副市長答弁》 経済が大変なので苦戦しているが、各方面と結束してネットワークを形成し、着実に前進してまいりたい。
【ひとり親支援】
最後に、「ひとり親支援」についてお聞きします。
5年前の国勢調査によると、京都市のひとり親家庭は、10,992世帯とのことです。そのうち母子家庭は10,062世帯、父子家庭は930世帯というデータでございます。
平成21年6月に実施された「京都市ひとり親家庭実態調査」では、父子家庭の3分の1を超える343名から回答が寄せられ、シングルファーザーの方の問題意識が高まってきていることが裏付けられました。
そのなかで、現在実施中の「ひとり親家庭日常生活支援事業」を利用したいと答えた方の割合が、父子家庭が母子家庭の倍近くありました。
つまり、シングルマザーと比べても、同じか、より高い割合で、シングルファーザーの方々は、生活支援や情報交換、交流事業へのニーズをお持ちであると受け止められると思います。
21年9月議会で、わが会派の平山議員の質問に答え、市長も、日常生活を支援する事業の充実や、家事や子育てに関する相談に応じる生活支援事業の新たな実施、ひとり親家庭同志の交流を行うファミリーネットワーク事業の拡大などを実施すると答弁されました。
私自身、大変に心強く感じ、2月に開催されたセミナーを見学しに、母子福祉センターを訪問させていただきました。しかしながら、その際の男性の参加者は1名でした。広報周知もさることながら、「母子福祉センター」という名称に、心理的抵抗を感じているケースもあるのではないかなと思いました。
また、今回の決算委員会局別質疑で、21年度のひとり親への様々な支援事業についてお聞きしたところ、1年間の各種事業への父子家庭の参加状況は、3世帯にとどまっているとの答弁がありました。
これらから導かれる問題意識は、大変に僭越な言い方になりますが、21年度から今年度にかけての現状は、先の市長答弁が具体的に進んでいないのではないか、あるいは十分にいきわたっていない実態があるのではないかと、受け止めざるを得ないのでございます。
21年度を総括し、課題を検証して、具体的に推進していくべきと考えますが、いかがでしょうか。
《門川市長答弁》 ひとり親家庭支援は大事であり、実のある支援を進めて参りたい。