2009.10.04 (Sun)
10月2日、私・吉田たかおは京都市会本会議場で代表質問に立ちました。
地域を歩く中でお聞きした“ナマの声”を集約し、具体的に政策提言として論じたのです。
嬉しいことに、門川市長はじめ理事者から前向きな答弁を勝ち取ることができ、翌日3日付京都新聞にも1面で報道されました。
市民生活にとって重要な提言であることを証明できたものと、確信しています。これからも現場第一主義でダッシュしてまいります。
下記に質問原稿と、答弁の主旨を掲載させていただきます。長い文章で恐縮ですが、関心のある方はお読みください。
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京都市会9月定例会一般質問(吉田孝雄)
【はじめに】
上京区の吉田孝雄でございます。公明党京都市会議員団を代表し、谷口議員に引き続き市政一般について質問いたします。
言うまでもなく公明党は、庶民の生活を守るため、どこまでも誠実に、市民生活に身近な政策を提言し実現してまいりました。
本日は、京都活性化のため、現場第一主義で研さんを深めてきた様々な課題のうち、「公共交通」「ごみ減量化」「子育て支援」などについて質問させていただきます。市長並びに理事者におかれましては、どうか誠意あるご答弁をお願いいたします。
【地下鉄駅周辺の案内表示等の改善について】
はじめにお聞きするのは、公共交通政策についてです。公共交通、特に地下鉄の赤字解消は、京都市財政危機を克服するための最重要課題であります。
1日あたり約4千万円もの赤字という深刻な事態に対して、多くの方々から「国にいっそうの財政支援を要望すべきである」との声があがっています。私も同じ意見ですが、国の支援を勝ち取るだけの説得力ある再建計画にするためには、コツコツと集約して積み重ねた「市民の生の声」を反映させていくべきではないでしょうか。
お客様を増やし利益を拡大する増収増客対策については、企業や大学を誘致して通勤通学客を増加する取り組みが必要であるとのご意見、また観光客増加のためのショッピングモールやミュージアムなど魅力ある施設を誘致すべきであるとのご意見もあり、これらも当然、大事な観点であると思います。
それと並行して、もっと身近な、市民からの生活実感に根ざしたご提案やアイデアを積極的に求めてはいかがでしょう。
現在庁内で若手職員のプロジェクトチームが設置されていますが、これを幅広い市民を巻き込んだ広範なものへ拡充していくわけです。京都を挙げて地下鉄増客への機運を盛り上げることが大事ではないかと、申し上げたいのでございます。
私は、今年度交通水道委員会に所属させていただき、交通局に何度か足を運んで多くの理事者と意見交換しました。それだけでなく、訪問対話や懇談会などで、市民の皆さんのご意見を幅広く求めるとともに、地下鉄32駅すべてを現地調査しました。
常任委員会などで具体的な問題を提起させていただいたなかで、先月には地下鉄市役所前駅に市立図書館で借りた書籍を返却できる専用ポストが設置されました。今月にも地下鉄利用客へアンケートを実施されるとのことで、いくつかは実現の方向となっております。
しかしながら、いろいろと話をつめていきますと、いわゆる「縦割りの限界」がまだまだあるのではないかと感じています。
1つの例を紹介しますと、本来はもっと観光客が乗車していただいてもよいのが地下鉄東西線の東山駅です。ところが、私が現地に行ったとき、春のお花見で平安神宮や美術館を訪れた方々がバス停で長い行列を作っておられ、バスが来ても車内がギュウギュウづめで乗れないくらいだったのですが、地下鉄まで歩く方は非常に少なかったのです。
周辺にも地下鉄乗り場へ誘導する工夫が見当たらなかったのを、残念に思いました。各局が協力して観光客の地下鉄利用を促進している取組みが、まだまだ改善の余地があるのではないかと実感した次第です。
そのあと、地下鉄の入り口付近で、海外からいらっしゃった親子が迷っておられるようでしたので、勇気を振り絞って「May I Help You?」と声をかけました。残念ながら私の拙い英語はなかなか通じず、その親子に平安神宮への道を説明するのに、かなりの時間を費やしたのです。
自分の英語力を棚に上げるつもりはないのですが、地上に出てすぐの歩道に、分かりやすい看板が設置されていれば良かったのにと思いましたし、今ある観光案内板をもっともっと大きくわかりやすいものにしてほしいなぁと痛感したので、対策を交通局に申し入れたのですが、歩道での設置や観光案内板は、他の局にもまたがる案件とのこと。
だからといって、対策が遅れても良いとは、誰も思わないはずであります。
そこでお聞きします。岡崎公園をはじめ駅周辺の観光スポットを訪れるお客様を地下鉄に誘導するため、駅周辺に設置する看板や観光案内板を総点検し、大きさや表示をわかりやすく改善する事業を、各局が力を合わせて推進するべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
(細見福市長答弁)
国際観光都市京都として、海外からのお客様など地理に不案内な皆様にも、安心して快適な京都観光を楽しんでいただくため、案内標識の充実が必要と認識しており、関係部局が一丸となって連携し「歩いて楽しい観光」を推進してまいります。
【地下鉄増収増客に向けた市民参加の取り組みについて】
それ以外にも、同じようなポイントはいくつかあります。平日のお昼、通勤通学客以外の対象である主婦層の皆さんのご利用を増やすために、ターゲットを絞ったピンポイントのアンケート調査を実施するとか、文化市民局主催のイベントや教育委員会の行事などを地下鉄周辺の施設で開催することも必要ではないでしょうか。
また、駅周辺の公共施設の案内表示は所管する各局が提供されているとのことですが、これがバラバラで大変にわかりにくいので、統一したものに更新するべきです。しかしながら、これらも交通局だけでは不可能な事例なのです。
もう1つのアイデアは、毎月16日に地球環境にやさしい市民ぐるみの運動を展開している「Do You Kyoto Day」に合わせたキャンペーンです。
普段は自動車で通勤している方が「1日乗り放題乗車券」いわゆる1Dayチケットを購入する場合、現在600円するものをこの日だけ値下げして、初乗り運賃210円の往復420円よりも安く設定するキャンペーンを企画し、社会実験をしたらどうでしょう。
目に見える増客の結果が出れば、継続しても良いのではないかと思います。あるいは、毎月16日に市の主催行事を各局が回り持ちで地下鉄沿線にて開催し、その参加者には帰りの乗車券を無料にするなどという特典、いわゆるインセンティブを、主催する局が提供するという予算設定も一案です。これこそ、局を横断した融合の事業になるのではないでしょうか。
いくつかの問題提起をさせていただきました。しかし、1人の頭からでは限界があります。いろんな人のいろんなアイデアを、もっともっと募るべきだと申し上げたいのです。
現在、「地下鉄健全化有識者会議」が開催され、私も何度か傍聴していますが、たくさんの議題があるので、突っ込んだ議論に至らず消化不良になってしまわないかと心配をしてしまいます。また、「まちづくり百人委員会」には、公共交通をテーマにした分科会がありましたが、先日第1期が終了しています。
これをベースにしたうえで、さらに「増収増客」対策に特化させた市民アイデアを、はばひろく募っていく必要があるのではないでしょうか。
そこで質問いたします。京都の地下鉄を救いたいと願う市民の熱い思いを糾合したプロジェクトとして、「仮称:地下鉄救命市民チーム」を市長直結で発足させ、大々的かつ定期的に広報し、市民のうねりを起こすべきではないでしょうか。そしてそのチームのキャプテンに、ぜひ門川市長に就任していただいきたい。いかがでしょうか。ご答弁を求めます。
(門川市長答弁)
市民や行政の多彩な取り組みを連携・融合し、さらに充実することにより、1人でも多くの市民の皆様にご理解とご協力を頂けるよう、私が先頭に立って地下鉄利用促進の取り組みを進めてまいります。
【パークアンドライドのソフト・ハード両面の充実について】
3つめは、「歩くまち京都」の実現にとって大きな効果が期待される「パークアンドライド」についてであります。
「パークアンドライド」は、CO2削減・観光客のおもてなし・渋滞対策そして公共交通の増収増客など、多角的な成果が期待される、まさに象徴的といえる事業であり、私も昨年の代表質問で通年化の実施や幅広い広報を訴えました。
うれしいことに、21年度から秋だけでなく春やGWそして土日に観光型パークアンドライドが実施されていますが、高速道路が無料になったら自動車の市内流入が加速するのではないかと懸念されており、迅速かつ具体的な充実が望まれるところであります。
現在も取り組んでおられる広報宣伝を、いっそう強化充実するべきですが、同時に今までにない斬新な取組みを、ソフト・ハード両面で立ち上げるべきではないかと申し上げたい。
まず、ソフト面では、ホームページのレベルアップが不可欠であるということです。京都市公式ホームページや観光情報システムは、着実に前進しておられると評価しますが、「パークアンドライド」にリンクしても、画面上に地図や料金表が表示される段階にとどまっており、大変に惜しいのです。
本年立ちあがった「ユニバーサル観光ナビ」が大きな反響を呼んでいますし、修学旅行ナビや交通局の洛ナビも好評です。ほとんどの車にカーナビが搭載されているように、今はまさに「ナビ」の時代。パークアンドライドのページも、ナビ形式に工夫すればどうでしょうか。
画面上で、「あなたはどの地域から来られますか」とか「京都のどこに行きたいですか」とかを選んでクリックすれば、使用する高速道路や降りるインターをお知らせし、出てから駐車場までの道順や駐車場から駅までの行き方を教えてくれるというシステムを構築するのです。
しかも、それをダウンロードしてプリンタから印刷することで、ドライバーの負担が軽減されますし、提携している駐車場や駅までスムーズに誘導することが可能になるわけです。そして、そのプリントを提示すれば駐車料金や交通料金あるいは提携している飲食店の食費などがお得になるという仕組みをプラスすれば、「京都に来てよかった」と喜んでいただける付加価値となっていくのではないでしょうか。
ハード面についてですが、私は先日2か所を現地調査してきました。
1つは、昨年の秋にパークアンドライドに協力していただいた陸運支局。くいな橋駅に近いので大いに期待しているのですが、名神京都南インターから降りて市内中心部に行こうと思っても、国道1号線からその駐車場に入る道がややこしく、迷いやすいのです。一方通行だからなのですが、国や府とも交渉して、他府県の方が簡単に行けるようにしていただきたい。
もう1つは、現在建設中の高速道路「斜め久世橋線」のジャンクションです。ここは地下鉄十条駅から徒歩5分という絶好の場所なので、高架下のスペースをパークアンドライド専用駐車場にしてはいかがでしょうか。幸い、土地は京都市の所有ですので第一段階はクリアしています。高速の出入り口と駐車場の共存は難しいかもしれませんが、同じような構造の近畿自動車道の東大阪パーキングエリアなどを参考にして工夫研究していけば、最新技術を駆使したより効果的な駐車場となるのではないかと、期待するものであります。
現在も各局の代表が参画されて「パークアンドライド」等を協議する「交通事業連絡協議会」が行われているとのことです。ぜひ、これまで述べたパークアンドライド推進のためのソフト・ハード両面での具体的なアイデアを積極的に検討し、順次実現していただきたい。いかがですか。ご所見をお伺いいたします。
(由木福祉長答弁)
ご提案いただいたナビシステムや駐車料金等の値引き、現在建設中の阪神高速「斜め久世橋線」の高架下利用等については、いずれも誠に示唆に富んだものであり、各部局が一丸となって検討して、出来るものから順次実施してまいります。
【ごみ減量化の検証システムについて】
次に、ごみ減量化についてお聞きします。
平成18年10月1日より家庭ごみの有料化が実施され、まる3年が経過しました。市民の皆さんから寄せられた生活実感に基づいた様々なご提案を、わが会派はじめ多くの先輩議員が提起されたことにより、20リットル袋や5リットル袋が創設され、高齢者や障害者世帯に対しての福祉サービスも制度化されるなど、市民協働の大切な取組みとして定着しています。
有料化に伴って、京都市民の環境への問題意識が深まり、家庭ごみの減量が着実にすすむなど、大きな効果をあげているものと認識しています。
しかしながら、いくつかの課題が浮かび上がっているように思います。最近、資源ごみ袋からアルミ缶などを事前に抜き取るという行為が問題になっていますし、古紙やダンボールを回収する際の景品として、ティッシュの代わりに家庭用ごみ袋を交換したり、商店が売り出しの際の景品にするといった事例などが見受けられます。
このような行為を繰り返す人たちは、家庭用ごみ袋を商品として扱っているのではないでしょうか。もう一度、ごみ袋有料化の原点に立ち返って、市民と行政が協同してごみ減量をすすめるための「手数料」であると再認識する必要があるのではないかと申し上げたいのです。
また、ごみ袋販売に協力していただいているお店のうち、地域密着型の個店であるお酒屋さん、お米屋さん、雑貨店さんなどからは、スーパーやコンビニなど大型店と比べて条件面等で不公平ではないかとの声もよくお聞きしています。ご不満の契機になった部分には誤解も含まれているかもしれませんが、いずれにしても、今後も快くごみ袋を扱っていただくように努力と工夫をしていく必要があると考えます。
一般市民からの声については、現在も幅広く求め、積極的に応えていく努力をしておられるとは存じます。しかしながら、地域の懇談会などで「ごみ減量がどれくらい進んでいるのか見えない」という声をお聞きします。
値段やサイズなどについてのご要望やご提案など、貴重な情報が寄せられても、それらを集約して分析した具体的データと将来への方向性が、市民のもとには十分に届いていないのではないでしょうか。
私がここで提起したいのは、3年が経過した今の段階で、ごみ減量化の検証システムを確立するべきではないかということです。
市民しんぶんに定期的にデータやQ&Aなどを掲載するとか、現在ホームページで公開されている進捗情報を今以上に分かりやすく工夫するなど、様々な試みが考えられます。ごみ減量と環境モラル向上に資するための「検証システム」を確立し、継続的に充実強化させていくべきであると考えますが、いかがでしょうか。ご所見をお聞かせください。
(門川市長答弁)
ご指摘の通り、ごみ減量のためには、市民の皆様に有料指定袋の意義や効果を知っていただき、ごみ量や分別の状況の情報を共有することは重要。今後は新たに策定する「循環型社会推進基本計画」で定期的に分かりやすく検証してまいります。
【レアメタルの回収促進について】
あわせて、携帯電話などのレアメタルのリサイクルについてお伺いします。
私は、昨年9月の本議会代表質問で、この問題を提起しました。また、ごみ減量審議会でも、有識者や市民の方から重要性が指摘されています。
これらを受けて本年6月8日から7月7日までの1ヶ月間、携帯電話リサイクルキャンペーンと銘打った社会実験が実施されたのですが、なんと目標の750台を大きく超えた、1,265台が回収されたとのこと。市民にも徐々に浸透しつつあると実感しております。
レアメタル、いわゆる希少金属のリサイクル促進は、資源の乏しい我が国にとっても、大きな可能性を秘めていると期待されています。実験で終わらずに、今後もこの取り組みを継続し、恒常的な取り組みとして拡充すべきではないでしょうか。
その問題意識で、3点提案いたします。1つは、社会実験の検証を早急にすすめ今後の計画を策定すること、2つは、回収ボックスを区役所に今後も常駐すること、3つは、レアメタルリサイクルの取り組みを産業界と学術界とも連携して推進し、いわゆる産学公での仕組みづくりを進めることであります。前向きなご答弁をお願いいたします。いかがでしょうか。
(門川市長答弁)
環境モデル都市として、全国の先導的役割を果たすため、レアメタルリサイクルのモデル事業を民間企業や大学研究機関と連携して年内からスタートさせ、区役所や駅などに回収ボックスを設置してまいります。
【子育て世代の支援について】
次に、子育て支援の観点から、本年7月より解禁となった「三人乗り自転車」についてお聞きします。
ニュースや新聞で大きな話題として報道され、社会的関心も高まっているのですが、特別仕様ということもあって価格が4万円から8万円以上もすると言われており、まさにコストがネックになっています。
このままではウヤムヤになってしまう懸念も指摘されていますので、私は先日、地元上京区にお住まいのヤングママの皆さんにお話しをお聞きしました。子育てまっただ中のお母さんたちは、「安全性の高い車種は高額なので手が出ない」「でも、行政の支援があれば助かります」とおっしゃっていました。
そこで、他都市の取り組みを調べますと、群馬県前橋市では購入される方への上限額を設定した助成制度が、さっそく7月にスタート。
また、東京都三鷹市ではレンタル制度を実施しておられ、1ヶ月1,000円のレンタル料で、事故や盗難、故障修理があった場合の保障も含まれているとのことです。
同じ近畿の兵庫県でもレンタル制度を協議中ということでして、京都府議会でも公明党の同僚議員が先日代表質問をしております。府とも連携をしていただき、ぜひとも前向きに推進すべきであると申し上げるものでございます。
具体的には2つの考え方があります。1つはレンタルの制度です。子育て支援のために国から提示されている「安心子ども基金」を活用すれば、この事業をレンタルという手法が可能になります。本市も京都府と連携すれば負担は最小限にとどまると試算されますし、2,3年めのレンタル料を初年度よりも下げるなどして、柔軟な価格設定にしていけば、普及までの一定期間の制度として効果が見込めるのではないでしょうか。
もう1つは購入を希望される方に助成金を支給すると言う手法です。これは一見予算が多いという印象がありますが、レンタルの際に想定される余剰分つまり使われない車両の存在が無いということもありますし、大きなトラブルがあったとしても普通の自転車を購入した場合と同じ自己責任となることで、逆に想定外のリスクは回避されるという利点もあります。
いずれにしても、安全性を確保する三人乗り自転車を利用しようとされるお母さんを支援する制度を、ぜひとも導入していただきたい。子育て世代の負担軽減と専用自転車普及促進のための有効な制度を検討し、具体的に実施していただくよう求めるものです。ご見解をおうかがいいたします。
(子育て政策監答弁)
保護者や子供の安全確保のため、「3人乗り自転車」普及促進を視野に入れ、他都市の状況や本市の財政状況を踏まえて、京都府とも協議し検討してまいります。
【二世帯住宅の助成制度に関する意識調査について】
最後に、子育て世代の市内回帰を促進する住宅政策についてお聞きします。
本市では何年も前から、これらの世代が他都市に転出しておられ、市内の人口構造は30代40代が少ないという典型的な「ひょうたん型」になっています。
私の住む上京区では、この傾向がさらに顕著で、65歳以上の単身世帯が全世帯の1割に達しており、地域コミュニティーの活性化が大きな課題となっているのです。
中京区や下京区の一部では新築マンションが増え、都心回帰の兆しが指摘されていますが、多くの旧市街では地蔵盆に子供の姿が見えない町内が珍しくなく、同じような傾向が懸念されているのではないでしょうか。
私自身、地域を歩くなかで、まちのにぎわいを取り戻す追い風となる住宅政策はないものかと、模索を重ねてきました。
現在、「耐震改修助成制度」という取り組みがありますが、高齢者向け住宅という条件の場合は、なかなか手を上げにくいのではないかというご意見もあり、別の条件、たとえば1人暮らしの高齢者の方が家族と二世帯住宅に同居されるという設定なら、関心を持つ方が多いのではないかと考えたのです。
また、次期上京区基本計画の策定に向けて各学区の代表が参画されている「住民円卓会議」において、「結婚しても住み続けられるよう、居住環境を改善できる施策が必要である」というご意見が賛同を集めたとお聞きしました。
それらを踏まえ、私は新しい制度を提起したいと思います。
結婚や就職を機に他都市に転出した人が、親の高齢化に合わせて実家を改築したり、新築して同居する際に、京都市内に戻ってくる場合に限定した「二世帯住宅」を促進する助成制度を創設してはいかがでしょうか。
他都市から子育て世代が帰ってこられれば、地域活性化につながると同時に、税収アップにも貢献すると考えます。ただし、今の段階では、この制度にどれくらいの方が応募してこられるかは、明確ではない状況です。
そこで、子育て世代の方々に「二世帯住宅」への助成制度に関する意識調査を実施してはいかがでしょうか。他都市に在住されている方々が対象と言うことで、告知の点でネックはありますが、インターネットを利用する人が多い世代ですので、ネット投票方式などの工夫をすることも考えられます。前向きな検討をお願いいたします。
(都市計画局長答弁)
住居については生活基盤にかかわる問題のため、対象となる世帯のニーズを把握する調査のあり方について検討してまいります。
【さいごに】
いずれにしても、市民の声を求め、集約する「市民参加」と、縦割りを乗り越えた「庁内の融合」、この2つが、大きなカギを握っています。
そのことを心から期待し、私の質問を終わります。ご静聴、誠にありがとうございました。
地域を歩く中でお聞きした“ナマの声”を集約し、具体的に政策提言として論じたのです。
嬉しいことに、門川市長はじめ理事者から前向きな答弁を勝ち取ることができ、翌日3日付京都新聞にも1面で報道されました。
市民生活にとって重要な提言であることを証明できたものと、確信しています。これからも現場第一主義でダッシュしてまいります。
下記に質問原稿と、答弁の主旨を掲載させていただきます。長い文章で恐縮ですが、関心のある方はお読みください。
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京都市会9月定例会一般質問(吉田孝雄)
【はじめに】
上京区の吉田孝雄でございます。公明党京都市会議員団を代表し、谷口議員に引き続き市政一般について質問いたします。
言うまでもなく公明党は、庶民の生活を守るため、どこまでも誠実に、市民生活に身近な政策を提言し実現してまいりました。
本日は、京都活性化のため、現場第一主義で研さんを深めてきた様々な課題のうち、「公共交通」「ごみ減量化」「子育て支援」などについて質問させていただきます。市長並びに理事者におかれましては、どうか誠意あるご答弁をお願いいたします。
【地下鉄駅周辺の案内表示等の改善について】
はじめにお聞きするのは、公共交通政策についてです。公共交通、特に地下鉄の赤字解消は、京都市財政危機を克服するための最重要課題であります。
1日あたり約4千万円もの赤字という深刻な事態に対して、多くの方々から「国にいっそうの財政支援を要望すべきである」との声があがっています。私も同じ意見ですが、国の支援を勝ち取るだけの説得力ある再建計画にするためには、コツコツと集約して積み重ねた「市民の生の声」を反映させていくべきではないでしょうか。
お客様を増やし利益を拡大する増収増客対策については、企業や大学を誘致して通勤通学客を増加する取り組みが必要であるとのご意見、また観光客増加のためのショッピングモールやミュージアムなど魅力ある施設を誘致すべきであるとのご意見もあり、これらも当然、大事な観点であると思います。
それと並行して、もっと身近な、市民からの生活実感に根ざしたご提案やアイデアを積極的に求めてはいかがでしょう。
現在庁内で若手職員のプロジェクトチームが設置されていますが、これを幅広い市民を巻き込んだ広範なものへ拡充していくわけです。京都を挙げて地下鉄増客への機運を盛り上げることが大事ではないかと、申し上げたいのでございます。
私は、今年度交通水道委員会に所属させていただき、交通局に何度か足を運んで多くの理事者と意見交換しました。それだけでなく、訪問対話や懇談会などで、市民の皆さんのご意見を幅広く求めるとともに、地下鉄32駅すべてを現地調査しました。
常任委員会などで具体的な問題を提起させていただいたなかで、先月には地下鉄市役所前駅に市立図書館で借りた書籍を返却できる専用ポストが設置されました。今月にも地下鉄利用客へアンケートを実施されるとのことで、いくつかは実現の方向となっております。
しかしながら、いろいろと話をつめていきますと、いわゆる「縦割りの限界」がまだまだあるのではないかと感じています。
1つの例を紹介しますと、本来はもっと観光客が乗車していただいてもよいのが地下鉄東西線の東山駅です。ところが、私が現地に行ったとき、春のお花見で平安神宮や美術館を訪れた方々がバス停で長い行列を作っておられ、バスが来ても車内がギュウギュウづめで乗れないくらいだったのですが、地下鉄まで歩く方は非常に少なかったのです。
周辺にも地下鉄乗り場へ誘導する工夫が見当たらなかったのを、残念に思いました。各局が協力して観光客の地下鉄利用を促進している取組みが、まだまだ改善の余地があるのではないかと実感した次第です。
そのあと、地下鉄の入り口付近で、海外からいらっしゃった親子が迷っておられるようでしたので、勇気を振り絞って「May I Help You?」と声をかけました。残念ながら私の拙い英語はなかなか通じず、その親子に平安神宮への道を説明するのに、かなりの時間を費やしたのです。
自分の英語力を棚に上げるつもりはないのですが、地上に出てすぐの歩道に、分かりやすい看板が設置されていれば良かったのにと思いましたし、今ある観光案内板をもっともっと大きくわかりやすいものにしてほしいなぁと痛感したので、対策を交通局に申し入れたのですが、歩道での設置や観光案内板は、他の局にもまたがる案件とのこと。
だからといって、対策が遅れても良いとは、誰も思わないはずであります。
そこでお聞きします。岡崎公園をはじめ駅周辺の観光スポットを訪れるお客様を地下鉄に誘導するため、駅周辺に設置する看板や観光案内板を総点検し、大きさや表示をわかりやすく改善する事業を、各局が力を合わせて推進するべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
(細見福市長答弁)
国際観光都市京都として、海外からのお客様など地理に不案内な皆様にも、安心して快適な京都観光を楽しんでいただくため、案内標識の充実が必要と認識しており、関係部局が一丸となって連携し「歩いて楽しい観光」を推進してまいります。
【地下鉄増収増客に向けた市民参加の取り組みについて】
それ以外にも、同じようなポイントはいくつかあります。平日のお昼、通勤通学客以外の対象である主婦層の皆さんのご利用を増やすために、ターゲットを絞ったピンポイントのアンケート調査を実施するとか、文化市民局主催のイベントや教育委員会の行事などを地下鉄周辺の施設で開催することも必要ではないでしょうか。
また、駅周辺の公共施設の案内表示は所管する各局が提供されているとのことですが、これがバラバラで大変にわかりにくいので、統一したものに更新するべきです。しかしながら、これらも交通局だけでは不可能な事例なのです。
もう1つのアイデアは、毎月16日に地球環境にやさしい市民ぐるみの運動を展開している「Do You Kyoto Day」に合わせたキャンペーンです。
普段は自動車で通勤している方が「1日乗り放題乗車券」いわゆる1Dayチケットを購入する場合、現在600円するものをこの日だけ値下げして、初乗り運賃210円の往復420円よりも安く設定するキャンペーンを企画し、社会実験をしたらどうでしょう。
目に見える増客の結果が出れば、継続しても良いのではないかと思います。あるいは、毎月16日に市の主催行事を各局が回り持ちで地下鉄沿線にて開催し、その参加者には帰りの乗車券を無料にするなどという特典、いわゆるインセンティブを、主催する局が提供するという予算設定も一案です。これこそ、局を横断した融合の事業になるのではないでしょうか。
いくつかの問題提起をさせていただきました。しかし、1人の頭からでは限界があります。いろんな人のいろんなアイデアを、もっともっと募るべきだと申し上げたいのです。
現在、「地下鉄健全化有識者会議」が開催され、私も何度か傍聴していますが、たくさんの議題があるので、突っ込んだ議論に至らず消化不良になってしまわないかと心配をしてしまいます。また、「まちづくり百人委員会」には、公共交通をテーマにした分科会がありましたが、先日第1期が終了しています。
これをベースにしたうえで、さらに「増収増客」対策に特化させた市民アイデアを、はばひろく募っていく必要があるのではないでしょうか。
そこで質問いたします。京都の地下鉄を救いたいと願う市民の熱い思いを糾合したプロジェクトとして、「仮称:地下鉄救命市民チーム」を市長直結で発足させ、大々的かつ定期的に広報し、市民のうねりを起こすべきではないでしょうか。そしてそのチームのキャプテンに、ぜひ門川市長に就任していただいきたい。いかがでしょうか。ご答弁を求めます。
(門川市長答弁)
市民や行政の多彩な取り組みを連携・融合し、さらに充実することにより、1人でも多くの市民の皆様にご理解とご協力を頂けるよう、私が先頭に立って地下鉄利用促進の取り組みを進めてまいります。
【パークアンドライドのソフト・ハード両面の充実について】
3つめは、「歩くまち京都」の実現にとって大きな効果が期待される「パークアンドライド」についてであります。
「パークアンドライド」は、CO2削減・観光客のおもてなし・渋滞対策そして公共交通の増収増客など、多角的な成果が期待される、まさに象徴的といえる事業であり、私も昨年の代表質問で通年化の実施や幅広い広報を訴えました。
うれしいことに、21年度から秋だけでなく春やGWそして土日に観光型パークアンドライドが実施されていますが、高速道路が無料になったら自動車の市内流入が加速するのではないかと懸念されており、迅速かつ具体的な充実が望まれるところであります。
現在も取り組んでおられる広報宣伝を、いっそう強化充実するべきですが、同時に今までにない斬新な取組みを、ソフト・ハード両面で立ち上げるべきではないかと申し上げたい。
まず、ソフト面では、ホームページのレベルアップが不可欠であるということです。京都市公式ホームページや観光情報システムは、着実に前進しておられると評価しますが、「パークアンドライド」にリンクしても、画面上に地図や料金表が表示される段階にとどまっており、大変に惜しいのです。
本年立ちあがった「ユニバーサル観光ナビ」が大きな反響を呼んでいますし、修学旅行ナビや交通局の洛ナビも好評です。ほとんどの車にカーナビが搭載されているように、今はまさに「ナビ」の時代。パークアンドライドのページも、ナビ形式に工夫すればどうでしょうか。
画面上で、「あなたはどの地域から来られますか」とか「京都のどこに行きたいですか」とかを選んでクリックすれば、使用する高速道路や降りるインターをお知らせし、出てから駐車場までの道順や駐車場から駅までの行き方を教えてくれるというシステムを構築するのです。
しかも、それをダウンロードしてプリンタから印刷することで、ドライバーの負担が軽減されますし、提携している駐車場や駅までスムーズに誘導することが可能になるわけです。そして、そのプリントを提示すれば駐車料金や交通料金あるいは提携している飲食店の食費などがお得になるという仕組みをプラスすれば、「京都に来てよかった」と喜んでいただける付加価値となっていくのではないでしょうか。
ハード面についてですが、私は先日2か所を現地調査してきました。
1つは、昨年の秋にパークアンドライドに協力していただいた陸運支局。くいな橋駅に近いので大いに期待しているのですが、名神京都南インターから降りて市内中心部に行こうと思っても、国道1号線からその駐車場に入る道がややこしく、迷いやすいのです。一方通行だからなのですが、国や府とも交渉して、他府県の方が簡単に行けるようにしていただきたい。
もう1つは、現在建設中の高速道路「斜め久世橋線」のジャンクションです。ここは地下鉄十条駅から徒歩5分という絶好の場所なので、高架下のスペースをパークアンドライド専用駐車場にしてはいかがでしょうか。幸い、土地は京都市の所有ですので第一段階はクリアしています。高速の出入り口と駐車場の共存は難しいかもしれませんが、同じような構造の近畿自動車道の東大阪パーキングエリアなどを参考にして工夫研究していけば、最新技術を駆使したより効果的な駐車場となるのではないかと、期待するものであります。
現在も各局の代表が参画されて「パークアンドライド」等を協議する「交通事業連絡協議会」が行われているとのことです。ぜひ、これまで述べたパークアンドライド推進のためのソフト・ハード両面での具体的なアイデアを積極的に検討し、順次実現していただきたい。いかがですか。ご所見をお伺いいたします。
(由木福祉長答弁)
ご提案いただいたナビシステムや駐車料金等の値引き、現在建設中の阪神高速「斜め久世橋線」の高架下利用等については、いずれも誠に示唆に富んだものであり、各部局が一丸となって検討して、出来るものから順次実施してまいります。
【ごみ減量化の検証システムについて】
次に、ごみ減量化についてお聞きします。
平成18年10月1日より家庭ごみの有料化が実施され、まる3年が経過しました。市民の皆さんから寄せられた生活実感に基づいた様々なご提案を、わが会派はじめ多くの先輩議員が提起されたことにより、20リットル袋や5リットル袋が創設され、高齢者や障害者世帯に対しての福祉サービスも制度化されるなど、市民協働の大切な取組みとして定着しています。
有料化に伴って、京都市民の環境への問題意識が深まり、家庭ごみの減量が着実にすすむなど、大きな効果をあげているものと認識しています。
しかしながら、いくつかの課題が浮かび上がっているように思います。最近、資源ごみ袋からアルミ缶などを事前に抜き取るという行為が問題になっていますし、古紙やダンボールを回収する際の景品として、ティッシュの代わりに家庭用ごみ袋を交換したり、商店が売り出しの際の景品にするといった事例などが見受けられます。
このような行為を繰り返す人たちは、家庭用ごみ袋を商品として扱っているのではないでしょうか。もう一度、ごみ袋有料化の原点に立ち返って、市民と行政が協同してごみ減量をすすめるための「手数料」であると再認識する必要があるのではないかと申し上げたいのです。
また、ごみ袋販売に協力していただいているお店のうち、地域密着型の個店であるお酒屋さん、お米屋さん、雑貨店さんなどからは、スーパーやコンビニなど大型店と比べて条件面等で不公平ではないかとの声もよくお聞きしています。ご不満の契機になった部分には誤解も含まれているかもしれませんが、いずれにしても、今後も快くごみ袋を扱っていただくように努力と工夫をしていく必要があると考えます。
一般市民からの声については、現在も幅広く求め、積極的に応えていく努力をしておられるとは存じます。しかしながら、地域の懇談会などで「ごみ減量がどれくらい進んでいるのか見えない」という声をお聞きします。
値段やサイズなどについてのご要望やご提案など、貴重な情報が寄せられても、それらを集約して分析した具体的データと将来への方向性が、市民のもとには十分に届いていないのではないでしょうか。
私がここで提起したいのは、3年が経過した今の段階で、ごみ減量化の検証システムを確立するべきではないかということです。
市民しんぶんに定期的にデータやQ&Aなどを掲載するとか、現在ホームページで公開されている進捗情報を今以上に分かりやすく工夫するなど、様々な試みが考えられます。ごみ減量と環境モラル向上に資するための「検証システム」を確立し、継続的に充実強化させていくべきであると考えますが、いかがでしょうか。ご所見をお聞かせください。
(門川市長答弁)
ご指摘の通り、ごみ減量のためには、市民の皆様に有料指定袋の意義や効果を知っていただき、ごみ量や分別の状況の情報を共有することは重要。今後は新たに策定する「循環型社会推進基本計画」で定期的に分かりやすく検証してまいります。
【レアメタルの回収促進について】
あわせて、携帯電話などのレアメタルのリサイクルについてお伺いします。
私は、昨年9月の本議会代表質問で、この問題を提起しました。また、ごみ減量審議会でも、有識者や市民の方から重要性が指摘されています。
これらを受けて本年6月8日から7月7日までの1ヶ月間、携帯電話リサイクルキャンペーンと銘打った社会実験が実施されたのですが、なんと目標の750台を大きく超えた、1,265台が回収されたとのこと。市民にも徐々に浸透しつつあると実感しております。
レアメタル、いわゆる希少金属のリサイクル促進は、資源の乏しい我が国にとっても、大きな可能性を秘めていると期待されています。実験で終わらずに、今後もこの取り組みを継続し、恒常的な取り組みとして拡充すべきではないでしょうか。
その問題意識で、3点提案いたします。1つは、社会実験の検証を早急にすすめ今後の計画を策定すること、2つは、回収ボックスを区役所に今後も常駐すること、3つは、レアメタルリサイクルの取り組みを産業界と学術界とも連携して推進し、いわゆる産学公での仕組みづくりを進めることであります。前向きなご答弁をお願いいたします。いかがでしょうか。
(門川市長答弁)
環境モデル都市として、全国の先導的役割を果たすため、レアメタルリサイクルのモデル事業を民間企業や大学研究機関と連携して年内からスタートさせ、区役所や駅などに回収ボックスを設置してまいります。
【子育て世代の支援について】
次に、子育て支援の観点から、本年7月より解禁となった「三人乗り自転車」についてお聞きします。
ニュースや新聞で大きな話題として報道され、社会的関心も高まっているのですが、特別仕様ということもあって価格が4万円から8万円以上もすると言われており、まさにコストがネックになっています。
このままではウヤムヤになってしまう懸念も指摘されていますので、私は先日、地元上京区にお住まいのヤングママの皆さんにお話しをお聞きしました。子育てまっただ中のお母さんたちは、「安全性の高い車種は高額なので手が出ない」「でも、行政の支援があれば助かります」とおっしゃっていました。
そこで、他都市の取り組みを調べますと、群馬県前橋市では購入される方への上限額を設定した助成制度が、さっそく7月にスタート。
また、東京都三鷹市ではレンタル制度を実施しておられ、1ヶ月1,000円のレンタル料で、事故や盗難、故障修理があった場合の保障も含まれているとのことです。
同じ近畿の兵庫県でもレンタル制度を協議中ということでして、京都府議会でも公明党の同僚議員が先日代表質問をしております。府とも連携をしていただき、ぜひとも前向きに推進すべきであると申し上げるものでございます。
具体的には2つの考え方があります。1つはレンタルの制度です。子育て支援のために国から提示されている「安心子ども基金」を活用すれば、この事業をレンタルという手法が可能になります。本市も京都府と連携すれば負担は最小限にとどまると試算されますし、2,3年めのレンタル料を初年度よりも下げるなどして、柔軟な価格設定にしていけば、普及までの一定期間の制度として効果が見込めるのではないでしょうか。
もう1つは購入を希望される方に助成金を支給すると言う手法です。これは一見予算が多いという印象がありますが、レンタルの際に想定される余剰分つまり使われない車両の存在が無いということもありますし、大きなトラブルがあったとしても普通の自転車を購入した場合と同じ自己責任となることで、逆に想定外のリスクは回避されるという利点もあります。
いずれにしても、安全性を確保する三人乗り自転車を利用しようとされるお母さんを支援する制度を、ぜひとも導入していただきたい。子育て世代の負担軽減と専用自転車普及促進のための有効な制度を検討し、具体的に実施していただくよう求めるものです。ご見解をおうかがいいたします。
(子育て政策監答弁)
保護者や子供の安全確保のため、「3人乗り自転車」普及促進を視野に入れ、他都市の状況や本市の財政状況を踏まえて、京都府とも協議し検討してまいります。
【二世帯住宅の助成制度に関する意識調査について】
最後に、子育て世代の市内回帰を促進する住宅政策についてお聞きします。
本市では何年も前から、これらの世代が他都市に転出しておられ、市内の人口構造は30代40代が少ないという典型的な「ひょうたん型」になっています。
私の住む上京区では、この傾向がさらに顕著で、65歳以上の単身世帯が全世帯の1割に達しており、地域コミュニティーの活性化が大きな課題となっているのです。
中京区や下京区の一部では新築マンションが増え、都心回帰の兆しが指摘されていますが、多くの旧市街では地蔵盆に子供の姿が見えない町内が珍しくなく、同じような傾向が懸念されているのではないでしょうか。
私自身、地域を歩くなかで、まちのにぎわいを取り戻す追い風となる住宅政策はないものかと、模索を重ねてきました。
現在、「耐震改修助成制度」という取り組みがありますが、高齢者向け住宅という条件の場合は、なかなか手を上げにくいのではないかというご意見もあり、別の条件、たとえば1人暮らしの高齢者の方が家族と二世帯住宅に同居されるという設定なら、関心を持つ方が多いのではないかと考えたのです。
また、次期上京区基本計画の策定に向けて各学区の代表が参画されている「住民円卓会議」において、「結婚しても住み続けられるよう、居住環境を改善できる施策が必要である」というご意見が賛同を集めたとお聞きしました。
それらを踏まえ、私は新しい制度を提起したいと思います。
結婚や就職を機に他都市に転出した人が、親の高齢化に合わせて実家を改築したり、新築して同居する際に、京都市内に戻ってくる場合に限定した「二世帯住宅」を促進する助成制度を創設してはいかがでしょうか。
他都市から子育て世代が帰ってこられれば、地域活性化につながると同時に、税収アップにも貢献すると考えます。ただし、今の段階では、この制度にどれくらいの方が応募してこられるかは、明確ではない状況です。
そこで、子育て世代の方々に「二世帯住宅」への助成制度に関する意識調査を実施してはいかがでしょうか。他都市に在住されている方々が対象と言うことで、告知の点でネックはありますが、インターネットを利用する人が多い世代ですので、ネット投票方式などの工夫をすることも考えられます。前向きな検討をお願いいたします。
(都市計画局長答弁)
住居については生活基盤にかかわる問題のため、対象となる世帯のニーズを把握する調査のあり方について検討してまいります。
【さいごに】
いずれにしても、市民の声を求め、集約する「市民参加」と、縦割りを乗り越えた「庁内の融合」、この2つが、大きなカギを握っています。
そのことを心から期待し、私の質問を終わります。ご静聴、誠にありがとうございました。