吉田たかおのよしだッシュブログ

京都市会議員 (公明党)・吉田孝雄が日々感じたことを綴ります。

京都市基本計画特別委員会質疑

2021.03.01 (Mon)
2月26日の京都市基本計画特別委員会で、人間中心のデジタル化を促進するべく「Society5.0」について質疑しました。

20210226基本計画委員会
 
今後5年の京都市を決定する基本計画を議論する重要な特別委員会ですので、“文字起こし”して採録します。長文ですが是非お読みください。

京都市会公式YouTubeチャンネルに、録画中継がアップされています。1時間4分40秒くらいから約15分間の質疑です。ご関心ある方はぜひご視聴ください。


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【吉田】 宜しくお願いいたします。前回の2010年に策定された第2期基本計画以降、“共に汗する”共汗(きょうかん)型の「市民参加」が前進しました。また、縦割りの限界を超える「政策の融合」が、市民の皆さんも市役所も共有されていった。そういう10年だったと評価できると思います。

 今回の基本計画に向けての審議会においても、3分の1の委員が女性でありまして、若者世代の方、子育て中のお母さん、文化芸術のトップの方などが貴重なご意見をされていました。私も傍聴させて頂いたのですけども、有益な意見が積み重ねられていたとの印象を持ちました。その上で、パブリックコメントを踏まえた様々な議論が展開され答申されたのが今回の計画である。その認識で質疑させて頂きたいと思います。

 この基本計画に「Society5.0」が記述されています。先ほどのご説明にも「分野横断的な4つの時代潮流」を基底にしているとのご説明でありまして、その4つの中に「Society5.0」が入っているということです。昨日の本会議代表質疑で質問させて頂きましたが、この「Society5.0」は私ども公明党議員団が今年度の政策提言のために1年間勉強したテーマでして、このズッシリと重い冊子として提出した提言を通して「Society5.0」の政策を提案させて頂き、市長からも前向きなご答弁がありました。

 まず、基本計画の基底として、「分野横断的な4つの時代潮流」に「Society5.0」を組み込んだ意義を、ご答弁願いたいと思います。

≪部長≫ 「Society5.0」を「分野横断的な4つの時代潮流」に入れた理由でございます。もともと「分野横断的な4つの時代潮流」につきましては、単独の行政分野にとどまらず、幅広い分野に及ぶものを時代潮流と掲げております。その中でも、デジタル化の動きとして「Society5.0」を特に留意したものでございます。これは平成28年に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」に初めて提唱された概念であると認識しております。

 様々な先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、経済発展と共に人口減少などの社会課題の解決を図ることを実現するための手段でございますが、この重要性は特に「コロナウイルス感染症対策」におきまして一段と極まったと認識しております。こうしたことを踏まえて「分野横断的な時代潮流」に加えたものでございます・

【吉田】 少子高齢化、人口減少の時代でもありますし、産業構造の転換が余儀なくされている時でもある。また京都市財政が危機的状況に直面している。さきほどの質疑でも「墜落しないために、この1,2年が大事な正念場である」との認識を示されました。そうした中で市民の皆さんが、情報化社会の激流、奔流に取り残されてしまうような事があってはならない。こういう観点で政策提言をさせて頂きました。

 その意味で、本日は絞り込んで、「市民のいのちと暮らしを守る市役所の未来像」と言う視点で質疑いたします。この5年,10年を見すえると、福祉部門の事務の比重が物凄く重くなるというか、過度に高まる傾向にあるのではないかと思います。

 高齢化が進行し、高齢者が爆発的に増えていくし、その方々を支えるための行政サービスも飛躍的に増えていく。事務量も増えるのでスタッフの増員も今以上に必要となってきます。今でも市のスタッフの半分くらいが福祉分野で占めているような現状がある。このままではパンクしてしまうと懸念を抱かざるを得ない。だからこそ、オープンデータを駆使したデジタル化が喫緊の課題ではないでしょうか。

 同時に、「申請主義」から脱却する行政の在り方も、デジタル化の中でしっかり進めないといけないという事が言える訳であります。昨日のわが会派の曽我議員の代表質疑でも「マイナンバー」が不可欠であるという問題意識で議論したところです。デジタル化が進む中で、情報弱者の方が取り残されることの無いようにしていくという共通認識が大事になると。ネガティブな反対意見もあるかもわかりませんが、しかし、これからの市民のための未来像の中で、弱者に寄り添ったデジタル化を進めていかなければなりません。

 昨年の特別定額給付金の時、マイナンバーを使ってオンライン申請しても、受けた行政側は人海戦術でチェックとか書き込みとか入力をしなければならなかったという実態がありました。その点の反省もしっかりとしながら、今後のデジタル化を「e-区役所」への方向性へ進めて頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。

≪部長≫ ご指摘頂きましたように、様々な視点、様々な面からも「行政のデジタル化」を進めていく事が非常に重要であると認識いたしております。本市におきましては、これまで「京都市高度情報化推進のための基本方針」を定めまして、これに基づき様々な業務に取り組んでまいりました。昨年11月にデジタル化戦略監のもと、分野横断的なプロジェクトチームを設置いたしまして、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

【吉田】 昨年にデジタル化戦略監が就任されて、デジタル化プロジェクトチームも進んでいるという事ですけれども、現時点の状況と今後の課題はどのようにご認識されていますか。

≪部長≫ 現時点におきましては、行政手続きの更なるオンライン化に向けた現状がどうなっているかの把握でありますとか、書類への押印の見直しなどの作業を進めているところでございます。今後、国全体の「自治体トランスメーション」推進の取り組みと連携しながら、本格的な行政手続きのオンライン化に取り組んでまいりたいと考えてございます。

【吉田】 他都市のデジタル化や「Society5.0」の研究状況を調べますと、「産業構造の転換」に対応するとか、新しい経済の変化に対応するとか、産業や経済部門に特化して、その部署が専門的に対応されているケースが見受けられる中にあって、京都市は総合企画局が10年以上前から組織されて、司令塔として様々な政策を分野横断的に推進されている、いわばエンジンの役割を果たしている訳なんですよね。

 2月17日に、市長に政策提言を手渡して意見交換しました。局長も同席されていましたけれども、その時に私が市長に申し上げたのは、「京都市は他の都市よりも早くから、総合企画局が分野横断的な政策を推進している。デジタル化もそうでなければならない」との問題意識をお伝えしたのです。

 したがって、本日の資料に「産業転換」のページで「Society5.0」が言及されていますが、これに限定されて偏ることの無いようにしていかなければなりません。私が本日論じた「市役所の未来像」、すなわち市民サービスの向上であるとか、福祉・子育て支援あるいは防災や観光の推進のために、最新のイノベーションを活用する「Society5.0」の在り方に関して、総合企画局が局を超えてしっかりやって頂きたい。こう思うのですが、いかがですか。

≪部長≫ 「Society5.0」あるいはデジタル化についてでございます。ご指摘頂きましたとおり、本市におきましては、産業商業分野におけるICTの活用にとどまらず、その他もろもろの市民生活にかかわる部分まで、たとえばコミュニティでありますとか、農林業や観光といった分野におきましても、積極的にICTを導入する事を今回の計画で掲げています。各局とも連携しながら、そう言った取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。

【吉田】 これから、デジタル化プロジェクトチームで、優秀な人材が活躍されることになると思います。この政策提言において言及させて頂きましたけれども、「産官学の連携」が大事であると。中でも特に若い世代の交流も必要になってくるのではないかと思います。従来の既成概念にとらわれずに、民間の良さと行政の責任の重さと、お互い活かしつつ補い合って、イノベーションを使いこなしていく方向性が、私は必要になってくるのではないかと思います。

 今、40代50代の「おっさん」と言われる世代の方々は、自分のスマホの設定でも四苦八苦して、子どもさんに頼ったりしている訳です。その人たちが職場においては、民間であっても市役所であっても、リーダー的な立場であったとしても、頭でわかっていても現実に、AIとかIOTとかは、なかなか自信も無いし、使いこなすという部分に関しては、理解した瞬間に次の時代に変化してしまっているかもわかりません。

 それぞれの部署に若手の方やICTに長けている方、また広い視野を持っている方はたくさんいらっしゃると思います。そういう方々の活躍する舞台を大事にして頂きたいですし、そういう方々が、学生や民間の人材との連携を進めていく上でのデジタル化の潮流への原動力となって頂けるような、そんな発想で進めて頂きたい。メモしたりコピーしたり連絡したり、こういう庶務も大事な仕事ではあるけれども、新しい時代のイノベーションは、生まれたときからデジタルに慣れている方々が活躍できるような、行政の未来像を志向しながら、デジタル化プロジェクトチームが核になって頂きたい。そういう方向性で進めて頂きたいと思いますが、最後にその点のご決意をお聞きして終わりたいと思います。

≪局長≫ 先日のご提言も、しっかりと政策に活かしてまいりたいと思います。ご指摘ありましたように、例えば産業部門のデジタル化も重要なんですけれども、市民生活の部門など市役所全体に係わるという事で、分野横断的な「時代潮流」として計画の中に位置付けておりますし、行政改革の大綱として、計画をどう進めていくかという中ですべての分野に係るものとして位置付けております。そして、その取りまとめを総合企画局でやっていくという事で、この基本計画をしっかりと進める中で、具体化をしてまいりたいと考えております。