吉田たかおのよしだッシュブログ

京都市会議員 (公明党)・吉田孝雄が日々感じたことを綴ります。

27年2月定例市会の代表質疑

2015.03.04 (Wed)
2月27日、私・吉田たかおは京都市会本会議場で27年度予算案に対する代表質疑に立ちました。

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“行動する政策創造集団”として、地域に根を張った草の根ネットワークで集約した、生活実感にあふれた政策課題を取り上げたのです。

嬉しいことに、門川市長はじめ理事者から前向きな答弁を勝ち取ることができました。

市民生活にとって重要な提言であることを証明できたものと、確信しています。これからも現場第一主義でダッシュしてまいります。

下記に質問原稿を掲載させていただきます。22分間の長い文章で恐縮ですが、関心のある方はお読みください。

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京都市会2月定例会代表質疑(吉田孝雄)

みなさん今日は。地方創生の本格的幕開けに当たって、北は上京から南は伏見区まで、京都市を縦横無尽に全力疾走でダッシュしている吉田たかおでございます。

湯浅議員に続いて、この後の国本議員とともに、公明党京都市会議員団を代表して、平成27年度予算案に関連して質問いたします。市長ならびに理事者におかれましては、誠意あるご答弁をお願いいたします。

【第1質問】

1.団地の高齢化対策

はじめに、団地の高齢化対策についてお尋ねします。

現在、「爽やか訪問対話活動」や「草の根ミーティング」で東奔西走していますが、その中で特に数多くお聞きするのは、市営団地など公営住宅にお住まいの方からの切実な声でございます。

高度成長期に建設された公営住宅の老朽化は喫緊の課題です。同時に居住者の高齢化・独居化も深刻であり、この「2つの高齢化」問題の対策は極めて重要ではないでしょうか。

本市は、平成23年に「市営住宅ストック総合活用計画」を策定し、「しっかり手入れして長く使うこと」を基本的な考えとして、長期ビジョンで改善を進めています。また、今議会に提案された国の緊急経済対策の財源を活用した26年度補正予算案及び27年度予算案においても、市営住宅の耐震改修やエレベーター整備の経費が盛り込まれるなど、着実に推進されている点は評価したいと考えます。

そのうえで、今後いっそう拍車がかかる高齢化への対応という観点を重視し、現在のすべての棟にエレベーターを設置するために、今年度以降も予算を確保して、急ピッチで推進していくべきであると強く申し上げるものでございます。

現地を歩いて、団地にお住いの方々からお話を伺いますと、1つのフロアが横並びになっている廊下型住宅と比べ、2世帯で1つの階段が設置されている階段型住宅はエレベーターの建設が高額にならざるを得ないことは理解できます。厳しい財政状況を踏まえ、老朽化の激しい住宅から順番に着手しているという実態を、多くの居住者は受け入れておられますが、高齢化に伴うバリアフリーの必要性は加速度を増している現実も無視できません。

そこで、平成11年に我が会派の谷口団長が提案して導入され、現在は団地の高齢化対策の大きな柱となっている「住み替え」制度をいっそう拡充し、超高齢化時代に即応するため、何か工夫は出来ないだろうかと知恵を絞りました。2つのアイデアを提案したいと思います。

1つめは、階段型住宅において、上層階から1,2階への「住み替え」を推進する施策展開です。1,2階に空き家が出た際に、同じ団地内で階段の昇り降りに困っておられる高齢者の枠を確保する仕組みを創設してはいかがでしょうか。

2つめは、エレベーターが全くない団地については、ハード面の事業として少なくとも1つか2つの棟に設置工事を施して、その棟に住み替え制度を的確に運用するというものです。ハード面とソフト面の取り組みを車の両輪として、高齢者や障がいのある方の安心安全を確保する仕組みの構築を検討して頂きたいのです。

高齢化が急速に進みます。階段の上り下りが困難な住民が増加する実態を直視し、現在実施されている「住み替え」制度をより実効力あらしめるため、居住者向けの枠をいっそう確保していくなどの措置を推進するという点と、団地内の一部の棟にエレベーター設置工事をまず施して「住み替え」を促進する点、この2点について市長のご所見を求めます。

もう1つ、公営住宅にお住いの方々からお聞きするご意見ご要望の中で多いのは、自治会活動の存続に対する懸念の声でございます。

高齢化が進行して、役員の成り手がなく、同じ人が何年も引き受けざるを得ないという長年の問題であります。また、大掃除や雑草伐採など公共の活動に参加される住民が年々減少している問題も顕在化しているのです。

そんな中で、昨年10月に伏見区の醍醐中山団地の空き住戸に京都橘大学の学生さんたちがルームシェア形式で居住して、団地の諸活動に参加するなど、地域と大学をつなぐ「地域連携センター」の分室を設置する協定が締結され、注目を集めています。今後も、前例にとらわれない発想で様々な施策を推進して頂きたいと思います。

いずれにしましても、災害時には日頃の近所づきあいが威力を発揮すると言われており、自治会活動の活性化のためのきめ細かな支援は極めて重要ではないでしょうか。

深刻な実態に直面している団地の自治会に対しては、活気を取り戻すための活性化策として、行政がサポートする取組みを今以上に充実強化するべきではないかと考えますがいかがでしょうか。 

2.子育て支援

次に子育て支援についてお聞きします。

私は初当選以来、「コスモス懇談会」と銘打ち、子育て真っただ中のお母さんたちからご意見・ご要望をお聞きしてまいりました。人口減少時代が到来し、超高齢化社会が加速すると懸念されています。納税世代である子育て家庭が京都市に住み続けて頂くための「魅力」を発掘し、それを磨き上げ、アピールする努力を怠ってはならないと強く感じます。子育て世代のニーズを探るべく綿密なリサーチを重ねて具体策を講じ続けていくべきと申し上げたい。その一助となるべく、先日の懇談会で頂戴した声を紹介させて頂きます。

インフルエンザ予防接種や歯列矯正治療への助成制度を実現できないかというご意見や、チャイルドシートや子ども用自転車など、短期間しか使わない物品をシェアする仕組みを検討してほしいという声もございました。これらの点についても積極的に検討して頂きたいと申し上げるものですが、その上で今回の質疑では、2つの点を取り上げさせて頂きます。

1点目は、魅力ある公園づくりについてです。懇談の場でのご意見は、「京都市はすべり台・ブランコ・砂場のみという画一的な公園が多く物足りない」とのことでした。他都市から転入してこられた方が「京都に来てよかった」と喜んでもらえるようなまちづくりの一環として、魅力ある公園を今以上に拡大していくべきと痛感した次第です。

建設局として、公園再整備にあたっては、地域にお住いの住民の皆さんと誠実かつ丁寧な話し合いの場を設定し、ワークショップを繰り返すなどの工夫を凝らして、地元合意を推進しておられます。ワークショップには小学生も参加されるケースもあるとのことで、幅広い年代のご意見を反映するものになるための努力が実を結ぶことを祈っています。

しかしながら、このような場に子育て世代の方々が積極的に参加されているかというと、現実的には様々な理由で困難なのではないでしょうか。「公園デビュー」という単語が定着しています。公園は子どもたちが安心して駆け回るだけでなく、お母さん方が共通の悩みを語りあったり、情報交換する貴重な場です。ぜひ、行政側から積極的にご意見を募る姿勢を示して頂きたいと考えます。

魅力ある公園は子育て支援のシンボル的な存在と言って過言ではありません。小学校や保育園、児童館にも協力を依頼するなどして、公園のデザインについてや、遊具の機能、トイレ、植栽、水回り、街灯、駐輪スペースなど、様々な観点からの改善点を洗い出すべく、保護者向けのアンケート調査を実施してはいかがでしょうか。ご答弁を求めます。

2点目は、3人目以降のお子さんへの優遇措置を強化するという点です。

27年度予算案において、第3子以降の保育園や幼稚園の保育料が免除されることになりました。これまで第3子を手厚くする制度は児童手当がありましたので、それに続く本格的な施策がスタートすることで、保護者の皆さんから喜ばれると確信するものです。

第3子以降を育てるご家庭を支援する制度はこの2つだけではありません。平成22年7月から2人以上の小学生以下のお子さんを育てながら出産を控えるご家庭の負担を軽減するためにヘルパーを派遣する「産前産後ヘルパー派遣事業」がスタートし、24年度からは双子以上いわゆる多胎世帯への支援に拡充しておられます。

具体的には、第3子以降の出産予定日2ヶ月前から出産の2ヶ月後までの16回、1回2時間以内という限定ですが、ヘルパーさんが炊事・掃除・洗濯などの家事に加えておむつ交換や入浴の補助、上のお子さんの世話をサポートするというもので、時間は朝7時30分から夜7時まで、日曜日にも対応可能ですから、お母さんたちが大変に助かる制度だと思います。

しかしながら、利用されたご家庭は平成25年度で約60前後ということで、少しずつ増えているとはいえ、毎年第3子以降の赤ちゃんが約2,000名誕生していることを思うと極めて少なく、PR不足が否めないと感じるのは私1人ではないのではないでしょうか。27年度予算にも事業継続が組み込まれているので、より一層の拡充を求めたいと考えます。

第3子以降のお子さんの出産前後の重要な時期に家事や育児を援助する「産前産後ヘルパー派遣事業」の利用者が増えるために広報周知を強化するなど、第3子以降への手厚い支援策をいっそう充実するべきであると考えますがいかがでしょうか。
 
以上で前半の質問を終わります。ご答弁をお願いします。

≪門川市長答弁要旨≫
市営住宅の高齢化対策については、住み替え制度を同一団地内の要望分を確保するとともに、エレベーター設置と住み替え制度を融合する提案を次期総合計画に反映してしたい。2月に実施した団地自治会対象のアンケートを分析しきめ細かなサポートを進めたい。

≪小笠原副市長答弁≫
魅力ある公園整備の上でご提案のアンケート調査を含めた市民の声を反映した工夫を進めたい。

≪子育て支援政策監≫
 3人以上の子育て中の世帯への支援は非常に重要。ヘルパー派遣事業を「京都はぐくみアプリ」などで発信するなど、子育て環境を充実したい。

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【第2質問】

ただ今答弁を頂いた団地再生問題とりわけ高齢者対策と、魅力ある子育て支援は、これからも地道に着実に議論を重ねてまいりたいと思っています。

3.クラウド活用の推進

続きまして、ICTとりわけクラウドの活用について質問いたします。

「電子自治体構想」は、公明党議員団が長年主張し続けてきた重要な政策課題です。行政のスリム化・効率アップだけでなく、従来の「申請主義」から脱却して市民サービスが飛躍的に向上するビジョンであると大きな期待が寄せられています。

超高齢化時代に福祉事務が厖大化して破たんしないためという観点にとどまらず、東日本大震災で公共機関や医療機関の重要なデータが失われた教訓を受け、激甚災害に直面した際に、市民の避難誘導や避難所運営をはじめ、復旧復興のために自治体業務が滞らない強固な危機管理体制を構築するためにも、情報システムを「クラウド化」することは喫緊の課題と考えます。

現在、国においては、平成26年3月に公表された「電子自治体の取り組みを加速するための10の指針」で、マイナンバー導入にあわせて、自治体におけるクラウド導入の加速を最優先課題として位置付けられています。京都市としても電子自治体の大きな第一歩と位置付けて、決して受け身にならず積極的に国を動かし、現場の実態に即した情報を国に提供するとともに、他都市の情報を積極的に求めていく姿勢が重要であると考えます。

そのためにも、庁内の体制を明確化し準備を着実に進めなければならないのではないでしょうか。この問題意識で、経済総務委員会などで何度も具体的な提言させて頂いてきました。

1つは、局を超えた体制作りを主導し、若い人材を抜擢して確保していくべきであるという点です。最新のICTを積極的に導入した高度情報化を進めるため、若手の柔軟な発想と知識をフル活用するべきと申し上げたい。

2つには、電子自治体の第一段階としてマイナンバー制度を進めることが、市民にとって大きなメリットがある点を重視した「広報周知」がきわめて重要であるという点です。

そして3つめは、サイバー攻撃等による情報漏えいや改ざんなどのトラブルに翻弄されないためにも、セキュリティー対策に力点を置くべきであるという点です。

上記3点については、着実に進められているとお聞きしています。今後の大きな課題は、各局がばらばらにクラウド化に着手するのではなく、体系立てた司令塔の役割を明確にする方向性が不可欠です。情報セキュリティーをしっかりと確保しつつ、クラウドをはじめとする最新のICTを活用した電子自治体への第一歩を本格的にスタートして頂きたいと考えますが、いかがでしょうか。

4.ICカード普及促進

次に、市バス・地下鉄事業における市民の利便性向上に資するICカードの普及促進についてお尋ねします。

市バス・地下鉄事業においては、財政赤字に苦しむ中、職員のみなさんの不断の努力はもとより、市長を先頭に全庁あげて増客対策に取組み、順調に収支改善を進めてこられました。

とりわけ市バス事業では、平成27年度予算案において、民間並みのコストで運営しても黒字化が困難な「生活支援路線」に対する補助金すらも返上するなど、名実ともに自立した経営を開始しておられます。

市民の足を守るという観点から、不採算路線を含めた74の系統はしっかり継続しつつ、市民や観光客のニーズにこたえた路線やダイヤの見直しによる利用促進を図ることで、事業全体の黒字化を実現することは評価に値すると思います。今後とも「攻めの経営」を追求するなかで柔軟かつ多彩な施策を展開して経営向上に努め、市民に愛される市バス・地下鉄にグレードアップして頂きたいと申し上げます。

昨年12月24日クリスマスイブの日に、公明党京都市会議員団が強く求めておりました市バスでのICカードの使用が開始されました。2月13日に九条車庫を視察して詳しくお聞かせ頂いたところ、現在の使用率は5%程度であるとのことです。社会のIT化が進展する中、ICカードをはじめとする最新の技術を駆使した利便性の向上は、更なる増客のためには欠かせません。将来的な1円単位の料金設定も視野に入れ、今後、ICカードの普及促進に向けての取組を強化していかなくてはならないと感じております。

平成27年度には、ICカードによる定期券サービスと市バスから市バスの乗継や市バスと地下鉄間の乗継における割引の導入に着手されるとのことであります。これにより、ICカードの利便性は大幅に向上するものと考えますが、システム開発等に要する2年間を漫然と過ごすのではなく、導入作業と並行して効果的な利用促進策を展開して頂きたいと申し上げます。

更なる市バス・地下鉄の利便性向上と増客のため、ICカードの利用促進を今後どのように展開していかれるのか、数値目標を設定した上で、その方策をお聞かせ下さい。 

5.動物愛護施策について(要望)

最後に、今議会に提案されている「京都市動物による迷惑等の防止に関する条例案」について申し上げます。

一昨年、私は、現中村議長、井上副議長をはじめ他会派の議員の皆さんとともに、動物愛護行政調査団の一員としてヨーロッパの先進事例を調査させて頂きました。その後、京都市における今後の動物愛護施策に生かして頂くべく具体的な政策要望を調査団として2回にわたり提案いたしました。

その結果、全国初の動物愛護憲章の制定、夜間動物救急も併設した府市協調による動物愛護センターの整備など、大きく前進しております。とりわけ憲章は、人と動物との共生社会構築に向けたモラル向上を目指すものとして、今後の積極的な取組みが期待されているところです。

私は、昨年2月市会の本会議代表質疑で犬猫のふん尿被害への対策を主張し、7月に市長に提出した政策提言でも「ふん害対策条例を制定すべき」と提案しました。今回の条例案にも、飼い犬の所有者が散歩時に糞の処理をするように推進する条文が盛り込まれており、その点では評価しております。

しかし一方で、この条例案のためのパブリックコメントには、野良猫の避妊去勢手術を推進しておられるボランティアの方々を中心に、野良猫への無責任な餌やりに関する骨子案に対するご批判が数多く寄せられ、全国的にも注目を集めているようです。

過日も、旧知のボランティアの方からご招待を受け、懸念を表明されている団体が合同で開催された緊急集会に参加させて頂きましたが、専門家や有識者の多くから強い抗議の声が上がっていました。条例の名称に「動物による迷惑」という文言があることや、いわゆる「餌やり」の定義について共通認識に隔たりがあっては条例の実効性は担保できません。今のままでは条例の本来の主旨が十分に伝わっていないように思えてならないのであります。動物愛護憲章の理念がまだ市民に十分に醸成されていない今の段階で、規制的な色合いが強い条例を制定することは性急ではないかとの感を抱く方は少なくないのではないでしょうか。

いま、京都市に求められていることは、憲章の理念を幅広く京都市民に啓発することはもちろんのこと、全国に誇れる動物愛護都市としての責任を果たすことだと考えます。今日に至るまでの議会における議論や、憲章制定等にご尽力をいただいた関係者の皆様のご意見をはじめ、パブリックコメントに寄せられた様々なご意見を十分に踏まえた上で、将来に禍根を残さない条例となるようよう最大限の努力を図って頂きたい。

我が会派といたしましても、今後審議される予算委員会において、野良猫による騒音や異臭などの被害に苦しむ地域住民の声を尊重することは当然としつつ、個人団体を問わず、動物愛護に取り組まれる関係者の方々や、避妊去勢を推進する熱意あるボランティアの方々の声に耳を傾け、あるべき動物愛護行政を模索しながら、真に動物と共生する地域社会の確立に向け取り組むことを表明し、代表質疑を終わります。ご清聴ありがとうございました。

≪塚本副市長答弁≫
マイナンバー制度の導入を機に行政手続きの簡素化などICTの利便性を向上するべく、若手職員が活躍している。クラウドは経費節減や災害対策の上から重要であるので高度情報化の指針を定め全庁挙げたICTの活用を進めたい。

≪交通局長答弁≫
27,28年度の2か年でICチャージ機能を搭載した券売機と精算機を地下鉄全駅に設置するとともに全ての改札機のIC対応化を進める。地下鉄のICカード率を20%から70%に、市バスは5%から40%を目指し利用促進に努めたい。