吉田たかおのよしだッシュブログ

京都市会議員 (公明党)・吉田孝雄が日々感じたことを綴ります。

2013海外行政調査レポート第4回(フランス)

2014.07.03 (Thu)
海外行政調査5日目はフランスのパリ市です。長いですが1日分を一括でレポートします。

前日にボンからケルン経由でパリへ。夕食はフランス料理ではなく列車内で摂りました。飛行機の機内食のようなものですが、強行軍なのでしかたないですね。

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パリ駅はお洒落でしたが、スリや置き引きが多いと散々聞かされてたので、ビクビクしながらの移動となりました。

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ホテルに向かう車中、凱旋門やエッフェル塔をバスの窓から撮影。観光気分をちょっぴり味わいました。(行政調査なので物見遊山ではないのです!)

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宿舎は近代的でゴージャスなホテルでした。と言っても、メールチェックや打ち合わせだけでなく、本稿のもととなっているレポートを作成するなど事務作業が大変で、館内や周辺を散策する余裕は全くなし。ま、当たり前ですわね。

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8月1日の午前中はパリ市役所清掃局へ。入り口では働く男の誇らしいポスターがお出迎え。

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糞対策PJ責任者レジス・ルルー氏(課長クラスの方らしいです)から、パリ市における犬猫の飼養状況とふん尿による被害いわゆる「ふん害」の対策を具体的に調査しました。

まず、犬猫の飼養の実情については、下記の説明がありました。

(1)登録制を実施(飼い犬は1999年より、飼い猫は2010年より)しており、犬は約10~15万頭で、他国と比べて人口比率は高い。猫は掌握不可能。野良猫は500匹くらいと推計している。

(2)タトゥーやマイクロチップで管理することが主流であるが厳密ではない。(ペットに愛着がある人とそうでない人がいることが理由)

(3)公共交通機関乗り入れは、600km以内は無料。盲導犬は制限なし。体重6Kg以上は人間の半額という規定だが守る人は少ない。Taxiの場合は運転手が拒否することもある。

つぎに、ふん害の対策についてお聞きしました。世界有数の観光都市パリでは、糞の排泄が1日9~12t もあり、景観を損なうふん害への対策に早くから着目し、1984より本格的な活動に着手されました。した。内容は以下の通りです。

(1)歩道と車道の間にある側溝(カニゴー)にホウキではきこむ。毎日、中水道を開栓し流して青い作業服の職員が下水道に流し込むが、自転車や歩行者の迷惑になるとの理由などで2000年に取りやめた。

パリ市ふんバイク

(2)モトクロット(糞処理専用バイク)でバキューム作業を1984年から実施したが、コストに見合うものでないとの理由で、2002年に廃止。

(3)小規模公園に専用トイレ「カニゼット」を設置したが、砂利などの臭気対策コストが大変で、費用対効果でロスがあると問題視された。朝と夜に散歩する際に、犬は「カニゼット」の場所まで待てなく、路上で排出するケースがほとんどであり、市民側も、近所にカニゼットができることに否定的であったこともあり、飼い主が責任を持って処理することがよいとの結論が出た。

(4)「糞処理専用スタンド」社会実験を2002年から2年間実施したが、スタンドの維持費等で費用対効果が見込めずに撤退した。

様々な具体的施策にチャレンジする実行力に驚きました。やる前から「失敗したら責任を追及されるのでは」というような後ろ向きな国民性ではないのですよね。中途半端でなく徹底した取り組みが不可欠と学ぶことができました。

これらの具体的な「実験」の結果、行政が何かを作るのではなく、「飼い主が責任を持って処理する」ことが一番よいと結論が出て、これがひろく市民に認知されました。そこで、条例を改正して飼い主が処理することを義務付け、日常パトロールを強化(80人体制で実施)するとともに罰則を強化しました。

これらの結果、2002年は年間4,300件の罰金刑施行したが、2012年は2,300件と減少したとのことです。罰金額は、当初183ユーロであったが、2011年より35ユーロに値下げしたとのこと。

ルルー氏によると、このような一連の施策を積み重ねた結果、飼い主の意識が深化し、ほとんどの飼い主が持ち帰っているようになったそうです。この要因は、罰金を科すだけでなく、一般市民の飼い主への視線がシビアになり、ふんを放置するような飼い主に対し見て見ぬふりをせずに直接指摘するケースがあることが大きいとのことでした。

同時に、大型ポスター等で大々的にキャンペーンを実施し、目を引く工夫がされる啓発活動を継続しています。これも市民啓発に効果を発揮しているようです。芸術の都らしくエスプリの効いたデザインでびっくりしました!

ルルー氏は、上記の種々の対策を施行した上での総括として、次の3点を強調されました。

(1)良かった点は、パリの施策が地方の他都市(リゾート地など)に波及した。
(2)お互いが「見られている」という意識で、飼い主が糞を放置せずに処理をすることが定着した。
(3)ただし、飼い主は家に持ち込まなくても良いように、行政が対策を練っている。具体的には、市内3万ヶ所に透明のビニール袋を8m間隔で設置し、パリ市衛生局が毎日収集している。

パリ市ごみ袋-1  パリ市ごみ袋-2

私は、特に3つめに着目しました。飼い主への規制を強化するだけでなく、メリットも提供するという発想です。ビニール袋は景観上いかがなものかという否定的意見もありますが、あくまでも参考にしたうえで、京都らしい対策が大事ではないかと考えた次第です。

さて、1日午後に訪れたフランス農水省食品局獣医部では、シャルル・フェデラ健康課・課長補佐が対応してくださり、フランス国家としての「ペット飼養の管理体制」「野良犬・野良猫の対策を調査」について、詳しくお聞きしました。写真が無くてすません・・・・。

まず、フランスにおけるペット飼養管理の特徴と歴史についてです。下記にメモを箇条書きします。

(1)中央集権体制のもと、農水省が厳しく規制し監督している。

(2)ペット業者の販売を認可する代わりに厳しく行政指導する仕組みを構築している。
(ア)認可受けた業者しか許されない。
(イ)健康管理を重視し、獣医局と協議を徹底。
(ウ)年間2回の立入調査など、ペット販売業者への細部にわたる規制を明確化。
(エ)年齢制限を設け、16歳以下の飼養は認めない。
(オ)路上販売を禁止し、販売許可証、記録管理を義務化。
(カ)個体識別番号など詳細データ管理が義務付られており、監督責任は農業省が持っている。
(キ)生後8週間未満の販売を不可とする。
(ク)獣医の健康証明書を義務化。
(ケ)フランスでは、新聞やネット等で商業広告を通じて売買されるケースが主流である。
(コ)行政指導や排除命令も強い権限のもと実施している。
(サ)EU規制を基にチェックリストで合否判定など監督していく。
(シ)業者や飼い主には、罰則や資格剥奪、刑事罰(罰金や懲役)などもある。

(3)EU加盟国で最もペットを飼養している国家である。
(ア)全国で73%の家庭がペットを好むと答え、48%がペット飼養している。
(イ)全国6,300万頭(犬740万、鳥640万、猫1,140万、哺乳類260万、魚350万ほか)のペットを管理。
(ウ)犬は血統種がほとんどであるが、猫は雑種がほとんどである。

(4)ペット管理体制の歴史
(ア)19世紀に動物保護問題が表面化し、1850年にグラモン法を制定し、罰則規定を設けた。
(イ)1996年に、ペット保護ヨーロッパ協定に批准した。

次に、野良犬・野良猫対策です。これも丁寧に説明していただきました。

(1)遺棄された野良犬や野良猫を捕獲したら自治体の保護施設に1週間が義務。連絡して所有者に変換するケースあるが、飼い主が現れない場合は、NPO(アソシエーション)運営の避難所に移し、再度連絡等を実施する。それでも見つからない場合は「仲介」を推進する。
(2)極力殺処分はしない。難病等の場合は安楽死させるが、自然死がほとんどであり、その場合も獣医が判断する。
(3)野良猫については、捕獲は困難である。捕獲は、行政では無くアソシエーションが実施している。猫の避妊去勢手術は飼い主の意向を優先する方針である。
(4)遺棄防止施策としては罰則適用で対応するが、タトゥーやマイクロチップ等の割合については集計不能であり、遺棄された犬猫が飼い主に戻る割合と施設収容の割合も不明である。
(5)バカンス期には、犬猫の遺棄が多い。(2003に4万頭→2012は6万頭と増えている)

最後に、我々の質問に答えていただきました。
(1)犬猫の公共交通利用は、原則禁止だが、条件付きで認可している。
(2)集合住宅での飼養も、リード使用等の条件付きで認められている。

ドイツに続いてフランスの動物保護施策を学んで、両国の特徴が明らかになったので、下記にまとめます。

(1)動物保護政策については両国の政治体制の違いでカラーが別れている。
(ア)ドイツは連邦国家で地方分権が進み、民間団体が主導。
(イ)フランスでは中央集権国家で、行政が業者を規制し監督。

(2)両国とも動物虐待防止や人間との共生を目指している点は共通しているが、各々特徴がある。
(ア)ドイツは厳格で着実に推進している。市民側からの声が行政の施策に大きな影響をあたえている印象を受けた。動物保護施設が非常に充実し、ほぼ100%仲介を目指している。殺処分ありえない。
(イ)フランスはペット業者を認め、商業広告で売買されているが、行政主導が強い権限で指導・監督・処罰している。

(3)両国とも、最近の傾向として、犬よりも猫の比重が高くなっているとのことであった。猫の保護や地域衛生問題について、解決の方途はここ数年来綿密に検討を重ねている段階である。

(4)ふん害対策を両国とも重視している。
①ベルリンでは、市の条例に「ふん放置」への罰則を規定している。パリ市では、条例に罰則を明記したことで、国内の他都市に大きな影響を与えたと認識している。
②両国とも、糞の処理を飼い主に求める代わりに、負担を軽減するために行政が具体的な支援措置を実施している。
(ア)ベルリンでは街なかにゴミ専用ポストを設置している。
(イ)パリは8m間隔でゴミ専用袋を市内8万ヶ所に設置した。

両国とも、動物の命の尊厳を重視し、それが生活に根付いていることを強く感じました。生命を大切にし、弱い存在に温かなまなざしを注ぐ社会の構築に向け、京都市も大いに学ぶべきであると考えます。

※次回は3ヶ国目のイギリスです。頑張ってレポートしますので、ご関心ある方はお読みくだされば幸いです。