吉田たかおのよしだッシュブログ

京都市会議員 (公明党)・吉田孝雄が日々感じたことを綴ります。

宮崎駿 『風立ちぬ』

2013.09.03 (Tue)
3日夕方、大雨洪水警報が解除されたこともあり映画館へ。ついに宮崎駿監督の「風立ちぬ」を鑑賞しました。夏休みも多忙で時間が取れなかったのですが、公開1ヶ月以上たってやっと観ることができたのです!

直前の報道で正式に引退宣言したという大反響の真っ只中。レイトショーでしたが結構な観客数でした。さすがです。

従来のジブリ作品とは一線を画す内容に戸惑いました。

まず、「となりのトトロ」に代表されるように、タイトルに「の」が入っていない点が注目されます。大変な決断だったのではないかと思います。

また、少年少女が主人公で魔法や呪文が重要な鍵を握るファンタジー(あるいは冒険活劇)でない点。これも大きいですよね。

そして、実在の人物名や街、企業、製品(言うまでもなくゼロ戦です)が登場するのも、今までなかったことです。

何より、20台の青年が恋愛し、結婚し、何度もキスをする……ジブリ史上空前の場面にドキドキです。

もちろん、「大空を飛ぶ」というモチーフは健在ですし、美しい「大自然」を舞台にして壮大に描く「生と死」というテーマはいっかんしています。

私は、宮崎監督が今までの子ども向けアニメの制約を受け入れて、甘い砂糖や調味料をまぶしてオブラートに包んでいたものを、ちゃぶ台のように全部ひっくり返したのが、この「風立ちぬ」だったのではないかと思います。

中毒と言っても良いほど仕事に没頭し、タバコを吸い、ところかまわず妄想してしまう主人公は、飛行機設計技師に仮託した「宮崎駿」そのものなのでしょう。

エンドロールで流れる名曲「ひこうき雲」の中で、ユーミンが感情をあらわに歌い上げる「今はわからない 他の人にはわからない」という一節は、彼の心の叫びだったのではないでしょうか。

だからこそ、この作品の試写会の場で初めて涙を流し、引退を決意したのだと思います。 もう、思い残すことはないと。

おそらく、巨匠・宮崎駿の最後の作品となるであろう「風立ちぬ」は今、観客動員や興業収入などでも記録を打ちたて、海外の映画賞にもノミネートされています。それは、自らの総決算として全霊をかけて絞り出した渾身の芸術性が、多くの人の心を打つからである。そう痛感します。

素晴らしい作品に巡り合えた歓びに感謝!