指定期間 の記事一覧
- 2022/08/21 : 自転車政策の充実にむけて (MyOpinion)
- 2022/08/16 : 京都市財政危機克服のために (MyOpinion)
- 2022/08/12 : 還暦を迎えました! (つれづれトーク)
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2022.08.21 (Sun)

【自転車政策の重要性】
京都市は、平成12年3月に「京都市自転車総合計画」を、22年3月に「改訂京都市自転車総合計画」を策定するとともに、同年11月には「京都市自転車安心安全条例」を制定して、市民ぐるみの取り組みを加速する中、27年には「京都・新自転車計画」を策定し、市民や関係機関と連携した総合的な自転車政策を段階的に前進させてきた。その結果、自転車の係る交通事故はピーク時の3分の1以下に減少するとともに、長年の大きな問題であった放置自転車は、なんとピーク時の200分の1以下に減少するなど、自転車の利用環境は大きく向上してきた。
今、環境にやさしく健康長寿にも資する自転車は、ウィズコロナ・ポストコロナ時代における「新しい生活スタイル」にも対応する乗り物として「公共交通を補完する役割」が期待され、持続可能な社会の実現を目指して国連が定めた取組目標「SDGs」の達成や、あらゆる危機に粘り強くしなやかに対応する「レジリエンス」の構築にも貢献するための不可欠なツールとして注目を集めている。
一方で、少子高齢化が進行し若い世代の方が転出する、いわゆる人口流出が深刻な課題として懸念され、持続可能な都市への政策推進が模索されている。私はこのような時だからこそ、多角的な「子育て支援策」(待機児童対策・先進的な学校教育・安心安全なまちづくり・魅力ある文化芸術の振興・アニメ等のコンテンツ産業充実など)の中に『自転車政策』を位置付け、子育て世代にとって他都市と比べて突出した“魅力あるまち”へ成長するための重要なテーマとして、今まで以上に力を入れるべきと、声を大に訴えたい。その一環として、具体的な提言を行なうものである。
【京都市自転車総合計画2025】
令和3年10月、門川市長は「京都市自転車総合計画2025」(写真)を策定し、これまでの成果を継承・充実強化させながら、安心・安全な自転車利用環境を前進する中で、自転車を通じて豊かな生活を送ることができる「自転車共生都市・京都」の実現を目指すことを明確化した。議会において各会派の議員が熱心に議論する中、私も何度も本会議や特別委員会などの場で発言を重ねていった。
計画策定のために尽力した「京都市自転車政策審議会」には、大学教授などの有識者や市民公募委員に加え、PTAや女性会、商店連盟、学生支援センターなど幅広い世代の代表が委員となっておられたが、なかでも自転車関係者のラインナップが目をみはった。販売事業者団体やサイクリング協会だけでなく、自転車利用環境向上会議全国委員会の三国成子会長(地球の友・金沢)と、著名なツーキニスト(自転車通勤者)疋田智さん(NPO法人自転車活用推進研究会理事)が参画して、定期的に京都までお見えになっていたのである。
他にも、自転車利用環境向上会議を運営し自転車活用推進研究会などで研究成果を発表する学者や事業者の方など、自転車政策のトップランナーが名を連ねており、他都市の議員さんや自治体関係者から驚かれ、羨ましがられていたことを、誇らしく報告させていただきたい。逆に言えば、千年の都であり世界に冠たる観光都市である京都市に対して、全国の自転車政策に携わる方々から、文字通り「熱い思い」が寄せられている証左に他ならない。市長をはじめ京都市の関係者は(私を含め)、その事実を深く心に刻んで自覚した上で、計画に盛り込まれた政策を実行していくべきではないだろうか。
「京都市自転車総合計画2025」のPDFが京都市HPにアップされている。表紙を含め30頁の分量だが、関心のある方はコチラをクリックしてお読みいただきたい。
【4つの提言】
私は、京都市政初の“議員立法”である自転車安心安全条例の提案説明を本会議で行なったほか、付託された常任委員会の質疑で答弁に立った。こうした経験を着目され、東京などで開催されたセミナーで何度か講演し、パネラーとして各地に招待されたほか、雑誌に寄稿したり取材を受けたりした。現在はコロナで活動できていないが、「全国自転車議員ネットワーク」という議連の理事の任にも就いている。
また、各年の本会議代表質問や特別委員会質疑でも、自転車政策を取り上げて論じており、本ブログの「MyOpinion」で摘録を掲載しているので、関心ある方はスクロールしてお読みいただきたい。今回の提言は、これらの質疑での議論や市の計画を踏まえつつも、京都市が直面する財政危機とコロナ禍を真正面から向き合う意味で、より現在に実状に即した重要な4つの視点に絞り込んだ。下記に列記する。
まず第1に、「自転車安全教育」は縮小してはならないと訴えたい。京都市独自の自転車安全教育プログラムに基づき、幼児・小学生・中学生・高校生・大学生(留学生を含む)・社会人・高齢者を対象とした各世代のライフステージに合わせた自転車教育は、最新の成果をどん欲に導入してきた積み重ねがあり、先の自転車利用環境向上会議全国大会でも成功事例として数年連続で紹介されている。財政危機によってハード面の緊縮はある程度やむを得ないが、ソフト面は大宮交通公園に新設されたサイクルセンターでの取り組みと中学生対象の「見て分かる!自転車安全教室」は継続していくべきだ。子どもたちはあっという間に大きくなり卒業してしまうからである。
第2に、「ルールマナー啓発」を、若い世代に注力してはどうかと提起したい。高校生や大学生は、通学やアルバイトの往復などで他の世代よりも自転車を使う頻度が多い反面、時間がない焦りや若さへの過信などの未熟さで、自分が歩行者や自動車に「脅威」を与えている自覚に乏しい。自転車マナーを最も身につけてもらいたい存在であり、「子どもたちやお年寄りにやさしい運転することがカッコイイ!」という価値観を浸透するようなシャレた啓発を期待したい。若い社会人の中でも自転車通勤(ツーキニスト)が増えているので、幅広い世代に効果が見込めると思われる。
第3に、「走行環境整備」においては、新たな視点として「安全向上」に着目する必要があるのではないか。ハード面の整備は予算が高額のため、当初の計画と比べて縮小することは、ある程度受け入れざるを得ないが、だからと言って、事故を未然に防ぐ手立てへの取り組みは後手を踏んではならない。具体的には、歩道から降りて車道を走行する自転車が転倒する危険が無いようにする「グレーチング」のすべり止めのため、最新技法を研究するべきと提案させていただく。
最後の4点目は、「局横断の体制整備」によって的確な施策展開を促進するべきという点である。多世代の自転車教育も若い世代のマナー啓発も、具体的に推進する部署は多岐にわたる。私が本会議代表質問で取り上げた「自転車観光」や「シェアサイクル」も然りである。現在の所管局である建設局が他局の施策をチェックし指示することは、お互いがギクシャクしてしまわないかと懸念する。他局にまたがる政策の進捗を見極め、今後の展開を取りまとめる「司令塔」的なポジションを設置してはどうだろうか。
公共や民間に限らず、すべての業務計画では「推進体制」と「評価・点検のフォローアップ」が最も重要であるが、昨年策定の「京都市自転車総合計画2025」では、たった1頁での言及にとどまっており、個人的には心配感が拭えない。その箇所には「進捗状況については,京都市自転車政策審議会に報告し,評価・点検等を行うことにより,計画の着実な推進を図ります」と記載されているが、だからこそ責任の所在を明確にするべきであり、そのための「体制整備」を検討することが重要と考える。
以上、京都市の自転車政策のさらなる充実に向けた提言を4点取りまとめた。それ以外にもたくさんの具体的な政策が計画に盛り込まれており、4点以外は軽くしても良いというつもりは全くない。ただ、「選択と集中」は今のこの時にこそ求められていると受け止め、賢明に判断した上で、懸命に実行していく事が大事である。どこまでも現場感覚を忘れず、市民の立場に寄り添った想像力を傾け、新たな価値を創造してまいりたい。
2022.08.16 (Tue)

【財政危機の実状】
2022年夏、京都市の財政危機が注目を集めている。なんとしても克服しなければならない。それぞれの政党・会派は、主義主張の違いによる不毛な対立を乗りこえて、京都市の未来のために議論を尽くすべきである。この重要な点について私見を論じていきたい。
京都市が財政危機に瀕しているとのニュースは、多くの人から意外性を持って受け止められている。観光世界一を誇り、多彩な伝統文化に恵まれ、大学の集積により人材が集まり、誰もが知る有名企業が立地している、などなどの評価が定着しており、その京都市が財政破綻の危機に瀕しているという事実は、「世界が憧れる」イメージとかけ離れていると言ってよい。
しかしながら、この危機的状況は一朝一夕に始まったものではなく、何十年も前からの構造的な要因によってもたらされたものである。高齢化が進行する中、景観を守るため高さ規制をしたことによる固定資産税の低迷に加え、中小零細企業が99%を超える地域特性が大きな要因であり、徴税率を100%近くまで高めるなどの努力を重ねているものの、ここ数年のコロナ禍で大きなダメージを受けてしまった。
20年以上前から「財政非常事態宣言」を出していたが、伸び悩む収入に比べ、福祉的経費の増大など支出が膨れ上がり、いびつな収支バランスを是正する一環として、禁じ手と言われる「公債償還基金」の取り崩しを繰り返して財源を確保してきた。しかし、このままでは基金が底をつくことが目に見えている。今までのような「先送り」は許されない状況であることは間違いない。
これ以上、若者や子どもたち「将来世代」にツケを押し付けることは不可能であり、今の大人たちが力を合わせて、勇気をもって改革に乗り出していく必要がある。公明党は、京都市の行財政改革は避けて通れない最重要課題であるとの問題意識で、建設的な政策提言を重ねてきた。
【行財政改革計画の評価】
令和3年8月、京都市が策定した「行財政改革計画」は、識者や市民の代表らで構成された審議会の答申を踏まえており、公明党の提言も数多く取り入れられていることから、一定の評価をするものである。特に、「民間活力の活用」と「デジタル化の推進」はムダ削減とサービス向上につながるので、スピーディな工程管理が求められる。同時に、補助金見直しやイベント縮小および受益者負担の適正化など「痛みを伴う」改革は慎重かつ丁寧に進めるべきである。
計画の詳細は京都市HPでPDFが公開されている。70頁の分量だが極めて重要な内容であるので、コチラをクリックしてご参照されたい。
これら計画の遂行に当たっては、現状をきめ細かく検証し、見直しや改善を積み重ねなければならないのは当然である。硬直した意識を変革し、柔軟な発想でタイムリーな施策を推進し続けなければならない。―これが公明党の変わらぬスタンスである。
これに対し、門川市長に反対する野党勢力は、「失政である」と声高に非難している。維新や京都党という第三極の勢力は、「身を切る改革」を旗印にして、各種施策の削減へ大鉈(おおなた)を振るうべきと論じているが、幅広い分野の各世代の方々の「痛み」に寄り添う姿勢は見えてこない。
もう一方の共産党は、各制度の「見直し」「改善」に反対し、行財政改革計画の撤回を求めている。段階を踏まえて策定した計画に対して、突っ込んだ検証をすることなく「撤回」を主張するのは、財政破綻を回避する責任を放棄していると言わざるを得ない。
第三極と共産党の主張は真っ向から反発している。極端と極端に走る議論では徒らに分断するばかりで、事態は膠着状態のまま前に進まない。だからこそ、そのど真ん中に立つ公明党は自民党と連携を深め、合意形成への架け橋となって、具体的な施策を的確に進めているのである。
【共産党の主張に疑問】
今年の上半期、共産党は議会質疑等で「京都市の財政破綻」は誇大宣伝であり、改革計画を「市民を脅し負担を押し付けるキャンペーンだ」と非難した。はたしてそうだろうか。以下に論じていきたい。
1.令和3年2月予算で「275億円の収入増」があったことを踏まえ、共産党は「財政破綻するとした行財政改革の前提が崩れている」と言っている。しかしその「収入増」は今回限りの『特例』(国の緊急地方財政対策で地方交付税が増えたことが要因)であり、市税収入が増えれば交付税は減る仕組みになっているため、4年度以降の大幅な増額は容易ではない。改革を行なわなければ特別な財源対策からは脱却できない実態がある。
2.2月の予算時の「収入増分」を基金借り入れへの返済に充てたことを批判し、共産党は市民生活の支援に使うべきと主張しているが、一時的な財源をあてにしたところで継続的な施策にはならない。持続可能な支援のためには、当面の基金の枯渇を回避するべきである。その意味から、将来世代への負担を軽減することが重要と判断した市の姿勢は評価できる。
3.基金への返済を重視したもう1つの理由は、会計間の移動とはいえ「利子」が発生(昨年度決算で1,746万円)しているので、今回の増収分を基金に積み増す方が今後につながっていくからである。
以上の点から、厳しい財政危機を克服するために、京都市が基金借り入れへの返済を優先し、徹底した行財政改革と将来を見据えた成長戦略を展開する方針を立てていることは極めて妥当であり、共産党の主張は的外れではないかと指摘したい。
ところで、共産党は「市民サービスを切り捨て負担増を強いるのではなく、厳しい市民生活を支援すべき」と主張している。それを真に受けると、「政府や自治体は何もやっていない」という不平不満が刺激されるので注意が必要だ。なぜなら、政府は野党から言われるまでもなく、コロナ禍を重く受け止め、具体的施策を連続して打っているからである。
具体的には、緊急小口資金貸付・生活支援金・住宅確保給付金・生活困窮者自立支援金・雇用調整助成金・家賃支援給付金・事業再構築補助金・事業復活支援金などであり、また京都市も、これらと連動して予算を確保し、中小企業総合支援補助金・就労継続支援助成金・文化芸術活動等奨励金・医療機関への支え合い基金などを実施してきた。「何もできていない」というイメージに幻惑されては本質を見誤る。大事なことは、具体的な施策をいち早く着手した上で、現場の声を受け止めて見直しや改善を積み重ねていくべきではないだろうか。
【持続可能な財政へ】
京都市財政の健全化を図るうえで、現在の諸制度のうち、発足当時から大きくコストが膨らんで財政を圧迫しているもの(例えば敬老乗車証や家賃減免など)については、いっさい見直してはならないと主張するだけでは「スリム化」は前に進まず、やがて制度自体が破綻を余儀なくされてしまう。そうならないためには、勇気をもって見直しに着手し、持続可能なあり方に改善していく必要がある。
ここで、分かりやすく「例え話」で説明したい。・・・・・・ある食堂が高齢者向け定食を500円で提供していたが、高齢化の進展で需要が増大すると同時に、食材の高騰や人件費の増加などで仕入れと売り上げのバランスが崩れ、最終的には食堂自体が立ち行かなくなってしまう、という危機に直面しているとする。この場合、一時的なキャンペーンで値引きするなどの工夫をしたとしても、それが終わると再び危機に直面する。店が潰れないため(持続可能な経営に転換するため)には、やむを得ず「500円定食」を700円に値上げさせてほしいと言っているようなものである。
公明党は、この例えで言えば、値上げはやむを得ないが「600円」にできないか(あるいは値上げ時期を延期できないか)と提案している。それに加えて、「高齢者向け定食の対象基準を見直す」「ライスのお替りを有料にする」「水やおしぼりをセルフにする」などの実用的かつ建設的な提言を試みていると理解していただきたい。(あくまで食堂のたとえ話であるが・・・)
要するに、持続可能な財政に転換するために現状の制度を改善することは、一時的な抵抗感があったとしても、どこかで誰かがやらなければならない、それが今なのである。そういう理屈は頭ではわかっていても感情では受け入れにくいものであるが、このような感情的反発が政治利用され不毛な足の引っ張り合いに陥った時、シワ寄せを押し付けられ迷惑を受けるのはいつも庶民ではないだろうか。
公明党議員団は、市長に対して「見える化」と「透明化」をより進めていくべきと口を酸っぱく提言している。1人でも多くの市民に改革の重要性を理解していただき、「何とかして乗り越えていこう」との思いを共有して、実際の意味で「市民協働」を進めていくために不可欠だからである。説明責任を果たして初めて、市民参加の民主市政が本格的に始動すると確信し、市長と議会による「二元代表制」を機能させてまいりたい。
その上で、「国との連携」を今まで以上に拡充する必要がある。公明党は参院選に向けて発表したマニフェストで、「経済の成長と雇用・所得の拡大」「誰もが安心して暮らせる福祉社会」を掲げた。「平和外交」「防災立国」「デジタルで拓く地域社会」「感染症に強い日本」への施策も明確に示している。自公の安定政権で矢継ぎ早に進める1つ1つの政策と連動して、現場の最前線を活性化することが、京都市の財政立て直しに直結すると確信する。
「見える化」を進めて市民と協働し、「国との連携」を拡充して先手を打つ。この2点を基調としてブレずに、前へ前へと進み続けることこそ、財政危機克服の王道ではないだろうか。
「さあ、出発しよう! 悪戦苦闘を突き抜けて! 決められた決勝点は取り消すことができないのだ」(ホイットマン『草の葉』)
2022.08.12 (Fri)
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